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2016年08月17日

【風、騒グ。】鵜飼秋子さんインタビュー

女性の眼と句で綴る演劇「風、騒グ。」開幕まであと2週間弱!キャスト紹介の途中ですが、今回は作・演出を手掛ける鵜飼秋子さんに作品背景についてお伺いしました!

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――公演一ヶ月前となりましたが、稽古は順調ですか?

台本を9割まで書き終えて、今は最後の部分を私と役者のみんなで作っているところです。実はクライマックスはまだ決めておらず、役者と一緒に考えているような感じです(笑)。 座談会のようにみんなで台本を読んで話し合うのが私の演出のスタイルです。いきなり演技をするのではなく、登場人物の会話のやり取りや人間関係、距離感などを役者とシェアして、みんなで同じ世界観や、想像を膨らませて立ち稽古を始めます。

――鵜飼さんはよくこういった芝居の作り方をされるんですか?

いつも役者とじっくり読み合わせすることに時間を掛けます。台本はやっぱり制限をしてしまうと思うんです。役者がそれをすべてだと思ってしまうと、その世界からはみ出し切らなかったり、理解できないことがあったり。でも、自分じゃない「他人を理解するところ」から役作りが始まっていて、台本に書いてないことを膨らませるのが役者の仕事だと思うので。嘘っこの世界にいかにリアリティ(真実味)を持たせるかが演劇の大事な作業だと思っています。物語の設定が異世界や不思議な世界であっても、まるでそこにあるかのようにお客さんに感じてもらわないといけないですからね。

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――昨年に引き続き俳句がモチーフですが、今作は一般女性の作品を選句しました。どういう思いで選びましたか?

単純に面白いなと思った句を選びました。具体的には、その17文字から、ものすごい世界が広がったものや興味が持てたものです。今回は6句選びましたが、共通するものを感じていて――勿論、北九州に住んでいる女性の作品というのは共通しているのですが、リアルな人生や生活だったり、特に女性の俳句には生活感が出るので、そこを表現できたらな、と思っています。例えばある世代の共通の普遍的な悩みだったり、世代による悩みの違いってあるじゃないですか? 役者も色んな世代の人がいるし、それぞれの世代から見た俳句の解釈の違いも劇中にリアルに出てくると思います。

――物語の設定はどのような感じですか?

句会の物語です。句を読み解くことで、自然と各々の性格や悩み、人間関係なんかが現れてきます。今作は、一部屋8人の物語で、90分間ぶっ通しです(笑)。暗転がなくシーンが切れないという、一幕ものに初めて挑戦しました。一幕ものをやってみようということは初めから決めていました。

――タイトルに込めた想いはありますか?

ボ、ボ、ボ...(笑)。なんでしたっけ、昔いたバンドで、あっ!ボガンボス(笑)!の歌で「トンネル抜けて」っていうのがあるんですけど、たまたま雑誌を読んでいて、その歌詞に出会ったんです。「風が騒ぐ夜は家に帰りたくないよ」っていう。「風」をモチーフにするということは決めていたので、それを見た時に、「まさにこれだ!」と思って、タイトルを先に決めて、それから設定とかを決めていきました。 夜なんとなく早く家に帰りたくないなという感じってあるじゃないですか。なんとなく寂しい夜で、一人になる家に帰りたくないなぁ、という話を書きたかったんです。今作では、句会は夜に行われていて、部屋に一人じゃないけどなんとなく寂しい感じや、孤独な感じ、そんな気持ちを描いていければと。

――寂しさや孤独って、大切な感覚ですよね。

そうですね。例え家族がいても、ふと独りだなと感じることってあると思うんですけど、それってきっと普遍的な感覚で、だからこそ人と繋がりたいと思うんじゃないかな。寂しさや孤独を感じることは貴重な感覚だと思います。

――ライフワーク的な意味で、鵜飼さんが演劇に向き合うときのテーマはありますか?

う~ん、まだ分からない(笑)。でも、10年やってると自分の興味があることが分かってくるというか。作品によってテーマは違いますが、結局いつも人間関係とかそういうところにたどり着く。ある時から、自分が表現することに興味がなくなったんですよ。以前は、自分が辛い時や傷ついた時、発散させたいことがある時に書いてきましたが、最近は自分に興味がないというのもあるんですが、誰かにインタビューしたり、お題をもらって書くことが面白く感じています。

――今後、チャレンジしてみたいことはありますか?

方向性としては、娯楽性より芸術性を求めていきたいです。演劇台本はとにかく制約が多い。映像作品みたいに時間や場所を移すこともできないですし、場転するとその度にお客さんの集中力が切れます。なので、シーンの繋ぎをどうするかは演出の大きな課題です。そして、目の前でやることは、同時にお客さんにも緊張感や役者との対峙を要求するもの。でも、そういう制約や課題がある中で、演劇にしかできないことは絶対にあると思うので、それを発揮できる作品を書きたいと思います。

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――最後に作品の見どころや、女性にここを見て欲しい!というポイントを教えて下さい。

句会をしている話なので(笑)、派手な展開はないですが、そこに生きている人たちや人間関係の面白さを楽しんでもらえれば嬉しいです。それと、登場する女性6人のキャラクターをじっくり見て欲しいです。彼女たちの「生活」の話なので、ちょっと救われたりとか、必ず自分に近い人がいて「私も」っていうあるある的要素があったりとか、きっと共感してもらえると思います。

取材日2016年7月28

取材・文/中本友之

▼「風、騒グ。」公演情報・チケット購入はこちらから

http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2016/0827hana.html

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