ステージ通信Q

[連載] HIBIKI サウンドブレイク 第1回 ホールは第二の楽器?

break.gif「ホールが演奏を助けてくれる」。これは3年ほど前に響ホールでリサイタルをしていただいた戸田弥生さんの口から、終演後自然に出てきた言葉です。この日のプログラムはといえば、イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタをはじめとする難曲をそろえ、精も根も使い果たした、という感じの中でフッと漏らしたものでした。

pre17.jpg 数ある国際的なコンクールの中でも最高の難関といわれる「エリザーベト王妃国際コンクール」優勝という経歴を持つ実力派の彼女をしてこう言わせた、そのくらいに緊張感のあるステージだったわけですが、アムステルダムを本拠に、コンセルトヘボウを始めとして、カーネギーホールなど世界に名だたるホールで演奏している彼女にとってホールとはそのようなものなのでしょうか。
 「私たちの鳴らす楽器がホールの空間と響きあって、気持ちよく呼吸するような、そんな時間を作ることが出来たら素敵ですね」と戸田さんはリサイタル前に行われたインタビューで語っています。似たようなことを同じヴァイオリニストの徳永二男さんも以前語っておられたことを思い出します。「ホールは第二の楽器である」と。響ホールでのコンサートの途中で9人の出演者を紹介したとき、あたかも10人目のメンバーであるかのように響ホールを讃えたのです。
 九州で初めての音楽専用ホールとして建てられた響ホールですが、10年以上を経過してますます楽器の音との馴染みはよくなったようです。これからも演奏者との協力によってさらに深みのある音を紡ぎ出すホール、との評価を高めていきたいものです。

文 山根康愛

2006年06月20日
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