ひとりきりの挑戦
男声パートの若きホープ、今年で3回目の参加となる井ノ森くん。私立中学の受験を経て新たな環境に入った事をきっかけに"何か特技を持とう!"と探していた矢先に出会ったのが青い鳥でした。
「小学校からの一貫校なのでひとり知らない子達の中に入って、自分に自信を持つ意味でも何か特技を持ちたいと思ったんです。劇場にお芝居を観に行った時にチラシを見つけてこれだ!とすぐに応募しました。母が元々コーラス部だったので歌をやる事には賛成してくれたし、特に歌が大好きという訳ではなかったんですが(笑)、ミュージカルやオペラを観ていいなぁと憧れた事はありました」
幼い頃から、劇場のバックステージツアーや様々なイベントに自ら参加したい!と手を挙げるなど好奇心は旺盛なほう。とはいえ、若干12歳で飛び込んだ青い鳥は約100名近くを抱える大所帯。今では「来るとホッとする」というほど慣れ親しんだ空間も、当初は緊張感でいっぱいだった。
「緊張と練習について行くのに精一杯で、1年目は本当にあっという間でした。楽譜は読めたものの、曲を覚えたり表現を追求したりとにかく必死。でも、本番が終わると物凄い達成感があって、こんなに大勢の前で歌えたんだ!という事が自信にも繋がりました。2年目は環境への不安もなくなって、ただただ合唱がうまくなりたい、という思いでした。声変わりが終わって音域も広がったので歌う事がもっと楽しくなったし、家でテレビを見ながら歌ったりする事も増えた気がします(笑)」
青い鳥では、主に女性陣が3つのパートで編成されるのに対し男声パートは1つ。人数が少ない分世代間交流も深くなり、家族や親戚とはまた違う年の離れた方々と話をする事が出来るのも、また参加したくなる理由のひとつだとか。
「歌がうまくなりたいのはもちろんですが、少しでも長く皆さんと喋っていたいという思いが強いんです。色んな考え方に触れられるし、普段の生活の中でも、知らない方とも臆せず会話出来るようになったと思います」
両親への感謝、新たな舞台
大人びた眼差しで話してくれる一方で、周囲では親との喧嘩が絶えないといった話も耳にする多感な時期。そんな中、青い鳥で得た様々な気づきが自分自身を省みるきっかけにもなっているよう。
「親と話す事がないとか喧嘩したとか色んな話を聞きますが、自分は普通に会話もするし、私立の学校にも行かせて貰えていたり、恵まれているなと。青い鳥の歌詞の"うけとめること かあさんのあいをとうさんのあいを ありがとうということ うんでくれてありがとうということ"という部分が好きなんですが、この歌詞にあるように、今の環境を与えてくれている両親に感謝しています」
中学校生活もあとわずか。青い鳥に参加している間は、将来の事などにもゆっくりと思いを巡らせながら、本番を終えた後にはチャレンジしたい事も沢山あるそう。
「夏にあるNHKの合唱コンクールに学校のコーラス部が出場するんですが、その助っ人に選ばれたんです。緊張はしますが、青い鳥に参加してきた事で歌に自信もついたし、悔いのないよう頑張りたいです。あとは、弓道部にも入りたい(笑)。何かに勝った負けたとか、特別な事をする事でもなく、ただ今この場に生きていて健康で色んな事が出来るという事が、本当に幸せですね」
2015.06.21