わたしの青い鳥
わたしの青い鳥物語
「想像という翼」

第13回

「想像という翼」

大関郁(おおぜき・いく)さん(57)

ギャップからの始まり

 4人のお子さんに恵まれ、十数年に渡りPTA役員などを担当されていた大関さん。長年の責務から解放され時間的にも精神的にも余裕が出たこの春、何か"自分のこと"をはじめてみようと青い鳥へ参加しました。

「たまたま新聞を開いたら、初心者でも大丈夫!というのがまず目に入って。期間は2ヶ月足らずで時間帯もちょうど良い。家族の理解もありこれなら出来るかも、と思い参加を決めました。緊張もあってか初日は凄く早く着いてしまい、既に顔見知りの方々も多いようだったり、早速何十人もの前で自己紹介があったりと実はちょっと混乱してしまったんです...」

 今年12年目を迎える青い鳥は、リピーター参加が多いことも特徴のひとつ。慣れ親しんだ空気、「久しぶり」と自然にやり取りされる会話。ひとたびワークショップが始まれば分からない箇所を教わったりと安堵を覚える場面もある一方で、本番までやっていけるだろうか?と始めは不安にもなったとか。

「想像していた以上に合唱として求められることも高くて。でもある時、パッとイメージが開けたんです。前に一度市民コーラスに参加した事があるんですが、本番だけ外国からプロの指揮の方が来られたんですね。稽古でなかなか歌に納得がいかず本番も不安だったんですが、舞台で指揮の方が腕を振るうと、指揮にあわせて自然と声が引き出されたんです。歌える!楽しい!と。それと同じような事が青い鳥でもあって。指揮もそうですが、私達がイメージし易いような言葉のチョイスだったり、想像力を掻き立てられる事で自然と声が出てくるようになりました」

妄想の翼に想いを託して

 実はプライベートで十数年、小中学校で"読み聞かせ"の活動を行っている大関さん。本から得た自身のイメージを、声にして聞き手にも伝えていく―これまでの活動と、歌で物語を紡ぎ観客に語りかける青い鳥とが繋がり、良い循環が生まれていきました。

「妄想が大好きなんです(笑)。言葉からイメージを膨らませて、感じたことをそのまま歌にしたり朗読したりで伝えていく。頭で考えすぎずに、その時その時で湧きあがるものを大切にしないと気持ちが伝わらないなというのを読み聞かせでも感じて来たので、青い鳥でもそのイメージを大切にするようにしました。出来た!と感じられる事が楽しくなって、練習後は心地よい疲労感を味わえるようにもなりました。歌う事は全身運動ですよね。運動が嫌いなのでその代わりというか、新陳代謝もあがって健康的になっている気がします」

vol13ozeki_phB.jpg読み聞かせをライフワークに、これからも"伝える"ことを続けていきたいと語る大関さん。
本番では、会場の皆さんにどんなメッセージが届くのでしょうか?

 

 毎回毎回新鮮な気持ちで楽譜と向き合い、本番のステージでもその瞬間に湧く感情を楽しみにしたいと語る大関さん。

「家で思い出しながらやろうとすると出来なかったりして、考えすぎなのか、集中力の問題なのか(笑)。幸せって何?と聞かれると、歌詞の中にある"何もしない幸せ"という言葉が浮かぶんですが、深く考えることはしなくてもそこにあるものだったり、あとは子どもの笑顔だったり。自分の子どもはもちろん、読み聞かせで出会う子ども達も含め、子ども達の笑顔を守っていきたいなと思います」

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