BEN

撮影:木寺一路

 
BEN

北九州芸術劇場プロデュース「BEN」公式ブログ

作:鈴木聡(ラッパ屋)  演出:松村武(カムカムミニキーナ)
出演者:穴迫信一、有門正太郎(飛ぶ劇場)、井口誠司(劇団テアトルハカタ)、池田幸子
今村映子(henhouse)、沖田みやこ(のこされ劇場≡)、折元沙亜耶、加賀田浩二(飛ぶ劇場)、小林類
酒瀬川真世(che carino!/che carina!)、上瀧征宏、白石萌、谷村純一、仲島広隆、ヒガシユキコ

公演日程:[北九州公演]2011年2月21日(月)~27日(日)
     [東京公演]2011年3月4日(金)~6日(日)

公演詳細情報はこちら
「BEN」公式ブログ » スペシャル記事 » 「BEN」製作発表会見リポート

2011.02.05 10:30

「BEN」製作発表会見リポート


去る1月8日(土)に北九州芸術劇場プロデュース『BEN』の製作発表が行われました。
今回の作品の重要なモチーフは、ズバリ「トイレ」。
そんなこともあって、会見の名札は、トイレットペーパー...

BEN会見名札写真

さらに入場曲は、マイケル・ジャクソンの「BEN」...
という小ネタの連発です。

そんな製作発表にご出席いただいたのは、この4名のみなさんです。


「BEN」会見登壇者写真
写真右から
【TOTO株式会社・赤坂雅永氏/作・鈴木聡氏/演出・松村武氏/北九州芸術劇場プロデューサー能祖將夫】

 

■北九州芸術劇場プロデュース作品について
(北九州芸術劇場プロデューサー・能祖將夫)

この一連のプロデュース公演は2008年から行っていて、これまでに五木寛之さん原作、鐘下辰男さん脚本・演出の『青春の門 放浪篇』、東憲司さん(劇団桟敷童子)作・演出の『風街』、松井周さん(サンプル)作・演出の『ハコブネ』の3作を上演してきました。4作目がこの『BEN』になります。

これらのプロデュース公演には大きく5つの特徴があります。
まず「北九州を感じさせる内容」であること。
『青春の門 放浪篇』は主人公が筑豊出身でした。『風街』は、昭和30年代の北九州をイメージさせる架空の街に住む人々の生活を描いています。
『ハコブネ』では、役者の方々にインタビューをして、この街に暮らしている、主に若者の生き方・考え方も取り入れながら作品を立ち上げました。

2番目の特徴は「第一線で活躍する演出家に北九州に来ていただき、1カ月実際に住んでもらって、この土地の空気を吸い、この土地の食べ物を食べながら作品を創ってもらう」ということです。

3点目は「出演者が、主にこの地域で活躍している役者で構成されていること」。この地に根付いて活動している役者はもちろん、一旦東京に出て戻った役者もいます。東京など他の地域の役者が入る場合もありますが、地域で活動する役者を中心にオーディションで選んでいます。今回も77人の応募があり、15人の役者が選ばれました。

4つめの特徴は「劇場の人間を中心にしたスタッフ編成であること」こと。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、全国の公共ホールでこの規模の作品を劇場のスタッフが手がける事は非常に珍しいことです。それが可能なのはこの劇場のスタッフのスキルと志が高いからに他なりません。今回は舞台美術家だけが東京の方です。また、舞台監督と衣裳、大道具製作は劇場のスタッフでは無いけれど北九州の優秀な人材を起用しています。

最後の特徴は「ここで創った作品を東京に発信していく」こと。今年も池袋「あうるすぽっと」さんとのタイアップ公演として共催で東京公演を行います。

『BEN』の北九州らしい点は、「TOTO」さんにご協力いただいている点です。
北九州の大きな特徴の一つに、ここから全国に発信している企業を持っているという事だと思います。その中で、最初に思いついたのがTOTOさんだったんです。
TOTOさんはトイレの会社ですので、そこから人生の中でのトイレの占める役割...という風にイメージしていきました。
人間の自立の第一歩は自分で排せつ行為が出来るようになる事だし、人生の終わりは自分で排せつ出来なくなっていく...その間にいくつもの人間ドラマが作れるのでは、と思ったのです。
地域から羽ばたいている企業と地域の公共ホールが内容的にも経済的にも必然的なタッグを組んで作品を創る事が出来たなら、全国で初めの例になるのではないかと思いました。そういう気持ちでTOTOさんに協賛をお願いしましたところ、快く引き受けて下さいました。NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられましたが、「ウォシュレット」の開発にも人間らしいドラマがあり、そこも描かれると思います。

『BEN』のもうひとつの大きい特徴は、コメディ作品に初めて挑戦する事です。
コメディ作品ならこの方というわけで、脚本は鈴木さんにお願いしました。何と言っても私が鈴木さんの大ファンということがあります。また、大ホールのこけら落とし公演(『阿国 -okuni-』)は鈴木さんの作品ですし、主宰なさっている「ラッパ屋」は小劇場に毎年来ていただいていてお客様に喜ばれています。鈴木コメディは北九州に馴染んでいて愛されているという下地があるわけです。鈴木さんの作品は人情味が非常にありペーソスもある。トイレのコメディならばそういうテイストだろうと思い鈴木さんにお願いしました。そして演出家も、鈴木さんとお話した時にすぐにお名前が出てきた方でコメディの名手である松村さんにお願いしたいと思い、このコメディの名手二人のタッグが成立しました。


■地域の公共ホールと作品を作ることについて
(TOTO株式会社マーケティンググループ 
コミュニケーション本部コミュニケーション推進部長、赤坂雅永氏)

TOTOは、1917年に小倉で国内初の水洗便器の製造に着手いたしました。それから90数年、国民の健康で文化的な生活の向上を願いながら、数々の商品を製造発売させていただいています。
そうした商品のなかでも代表的なものがウォシュレットですが、こちらは昨年、製造販売を始めて30年になりました。
また、昨年は洗浄水量が4.8リットルという、今までにない少ない水量で流せるトイレを発売させていただき、ある意味節目の年になったと思っています。
そうした節目の年に、地元の北九州芸術劇場より、私どもにとっては切っても切れないトイレにまつわる舞台をご一緒させていただくというのは、これからの我々の事業活動にとっても非常に励みになります。また北九州の発展に少しでもお役にたてれば光栄、と思っています。

トイレは毎日使うものですが、トイレの事やトイレの中であった事をお話しする機会は、なかなか無いと思っています。今回は「人の人生」と「トイレ」の関係を面白可笑しく描いていただけると聞いておりますので、一人でも多くの方にこの『BEN』を観ていただいて、トイレについてお話いただくきっかけになれば、我々としては非常に嬉しく思います。

 

■トイレを通して「普通の人たち」の面白さを描きたい
(作・鈴木聡氏/ラッパ屋主宰)

能祖さんから依頼されるまで、トイレの芝居を書こうと思った事は一度もありませんでしたが、トイレは好きですね。ラッパ屋の芝居でも、トイレのシーンは何度も使っています。
ただ、それを中心テーマとして発想した芝居は無かったので「それは面白い、やります」という事になりました。
その時に能祖さんと話したのですが、人生の色々な事とトイレの間にはいろいろな結び付きがあるんじゃないかと思っています。
例えば、子どもが初めてトイレを出来るようになるのは親にとって大きな出来事だし、思春期の頃は色々トイレで悩みます。また中年になると病気になったり、もっとお年寄りになると一人で排せつができなくなったり...
そういう意味で、人生の色々な表情をトイレを通して描けるな、面白いなと思いました。

私は普段の芝居でもあんまり偉い人を主人公にしません。
「ごく普通の人々を描いて面白く出来ないか?」ということが、自分の芝居づくりのテーマとしてずっとあるのですが、トイレを舞台にすることで、ごく普通の人々や普通の家族の話が面白く出来るんじゃないかと思っています。
1970年ぐらいの、まだ洋式トイレが珍しかったような時代から、ウォシュレット開発の時代通し、最後は現代にいたる時間の流れの中で、一つの家族を舞台にした何十年かに亘る壮大な物語を描きたいと思っています。
それから、私は広告の仕事もやっていたのですが、仲畑貴志さんのウォシュレットの広告コピー「おしりだって洗ってほしい」は、広告史上燦然と輝く名コピー中の名コピーだと思っています。それもあってウォシュレットに関する番組等もとても面白く見させていただいたので、商品開発にまつわる部分も力を入れて描きたいと思っています。

 

■演劇の特性を最大限に利用した面白さを感じます
(演出:松村武氏/カムカムミニキーナ主宰)


「TOTOさんとタッグを組んで、トイレのお芝居を北九州に1ヶ月滞在して作る」という、
これだけで充分面白いと思っています。
北九州芸術劇場のこのシリーズでは、これまでも演出家の方々が1ヶ月滞在して創っていますが、これは全国的に見てもなかなか無い企画だと思います。
北九州にはゆかりの無い私ですが、誰もが知っているTOTOさんが協賛で、テーマが「トレイ」、そして脚本が鈴木さんということで、お話しを聞いた時からやりたくてたまらない仕事でした。それがようやく始まって、すごくうれしく、たまらない感じです。
そのうえタイトルが「BEN」ですから。もう「勝ったな」って感じですね(笑)。
周囲にこの事を話すとみんな「羨ましい」と言い、そして「必ず見たい」と言ってくれます。もう、ほぼ成功したに間違いないと思っているくらいです。

演劇は、他のジャンルと違って複製が出来ません。例外もありますが、基本的にそんなに大勢の人の目には触れないし、その場所に行かないといけない制約もあって、観る方が積極的でないと観られないものです。
だからと言って演劇というジャンルが滅びないのが不思議な部分で、そこが面白いと思っています。今回の「BEN」は、演劇だけが持っている面白さを逆手にとっていると思っています。北九州を舞台に、北九州の人達で、北九州の劇場でやる。東京公演もありますが、基本的には北九州で観なさいってことですよね。
そういったところに、演劇の特性を最大限に利用した面白さを感じます。
自分が行った事が無い土地に1ヶ月滞在して演出をするという事で、どのような変化が起こるのか...僕は20年位芝居をしているのですが、久々に興奮を感じています。

北九州にはオーディションの時に初めて来ました。
その時に、地域の役者さん約80人とお会いして、その中から選抜させてもらいました。プロデュース公演等の企画を劇場が持っている為か、レベルの高い役者がそろっているな、と思いました。
こういう企画の利点として、技術があることよりもその場所に行かないと出会えないような、初めて演劇をするような人の「輝き」みたいなものがあると思います。地方で演劇をやっている人に出会う度に、その事を強く感じます。今日もワークショップをやっていたんですけど、本当に疲れるくらい大爆笑で...毎日が面白いですね。
この面白さを舞台に乗っけられればいいなって思っています。
きっと面白い公演になりますのでよろしくお願いします。

BEN製作発表会見全体写真

北九州芸術劇場プロデュース「BEN」
2月21日(月)~2月27日(日)
北九州芸術劇場・小劇場
公演情報はこちらhttp://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/event/2010/0221ben.html

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