LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望

撮影:木寺一路(FU.)

 
LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望

北九州芸術劇場プロデュース「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」公式ブログ

作・演出:藤田貴大(マームとジプシー)
出 演 者:荒巻百合、大石英史、折元沙亜耶、小林類、佐藤友美(劇団C4)
出 演者: 田口美穂、田中克美(超人気族)、中嶋さと(14+)、仲島広隆
出 演 者:中前夏来、鍋島久美子、野崎聡史(ZERO COMPANY)
出 演 者:船津健太、的場裕美、森岡光(不思議少年)、安永ヒロ子、李そじん
出 演 者:/尾野島慎太朗、成田亜佑美、吉田聡子

公演日程:[北九州公演]2012年11月13日(火)~11月18日(日)
公演日程:[東京公演]2013年3月8日(金)~3月10日(日)

公演詳細情報はこちら

2012.10.26 21:11

製作発表会見レポート

こんにちは!広報一田です。

 本日は、去る10月5日に行われた製作発表会見の模様をお届けしたいと思います。作・演出の藤田貴大さん(マームとシプシー主宰)、当劇場プロデューサー・能祖將夫、そして今作に出演する20名のキャスト陣が参加し、本作への意気込みや魅力が語られました。
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 今作"北九州芸術劇場プロデュース"シリーズは、2008年よりスタートし、今回が6作目となります(詳細はこちら)。このシリーズには、北九州をテーマに、第一線の演出家が北九州に滞在しながら、オーディションで選ばれた地元の人材を中心としたキャスト、そして地元のスタッフと共に創作を行い、完成した作品を中央へも発信していく、という特徴があります。まずは作・演出の藤田貴大さんの起用理由について能祖プロデューサーより、そして"北九州での作品創り"について藤田さんよりお話頂き、その後、マスコミの皆さんからの質疑応答へと移りました。
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能祖:
 本シリーズではこの数年、松井周さん、柴幸男さんと、続々と演劇界の新しい才能にお越し頂いています。藤田さんは、今年岸田國士戯曲賞を受賞、また27歳という年齢もあり今注目されていますが、単にそれだけではなく、今までの日本演劇の創り方を変えていくような新しい視点・方法論を持つという点でも大変注目されています。その彼に、北九州の役者やスタッフ、この土地の風土を材料に、お芝居の料理を作って頂きたい。この北九州という場所を、藤田さんの新しい視点で切り取って、今まで僕らが気づかなかったような発見、味わったことのない調理をして頂けたらと思っています。

藤田:
 僕は普段、東京でお芝居を創る時、常に最新作が最高傑作―という当たり前なんだけど、そういう作家としての責任を果たしてきたつもりです。だから今回も、よくありがちな地域の演劇や芸術のレベルに合わせた譲歩した作品を創るつもりはなくて、東京に持っていっても1番新しくて1番レベルが高い、という作品を創りたいと思ってます。

 東京にはないモチーフが北九州には転がってるし、1ヶ月間ゆっくり北九州という土地の事を考えながら、ここで出会った人やモノ、出会った言葉と、東京で演劇にこなれた人達と創るよりも、いい意味ですごく泥臭い、田舎臭いものを創っていきたいと思います。そしていい作品になるよう、それは約束します。
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北九州の印象については「道によって陰がある道と明るい様に振る舞っている道と、特殊な街だなという印象が
あります。小倉っていうエリアは歩いて回れるエリアで、僕の劇は屋外の事をやる事が多いので、そこが面白い。
あとはとにかく飯がうまい!(笑)特におでんがうまいです」と、率直な印象を語られました。

◆北九州の俳優の印象と選考基準―内外から見つめる北九州

藤田:
 今回は普段マームとジプシーでは集まらないメンバーとこの街でやっていきたい、と思ったので、年齢層も21歳から64歳までと幅広く、"生活臭がする人達"を選びました。単にうまい役者さんとやるんだったら東京で創ってればいいし、うまくもないし器用でもないけど、でもそういうところで楽しんでいきたいと思っています。20名というのはこのプロデュース公演で最多らしくて、そこはちょっと意地を張って取りました(笑)。

 それから、3人の俳優を僕が東京から連れて来ているのもそうですが、今回この北九州という土地を描くにあたって、外からの目線も含めて描きたいっていう事があって、北九州の方だけではなく、少しエリアを広げて選んでいます。僕も東京に住んでいて出身は北海道だし、そういう余所の人達が入って来た時にどういう視点で北九州を見るのか、っていう事から物語を始めようと思っています。

◆作品に描かれるテーマ―自身の記憶から、他者や街の記憶へ

藤田:
 僕はこれまで"記憶"についてずっとやってきた作家で、東京では僕自身の記憶をずっと舞台にあげていました。けれど、ちょうど岸田戯曲賞を取った後位に"これから先もずっと、自分の記憶だけで演劇作家をやっていくのか?"と、空腹感みたいなものが出て来たんです。それで、色んな土地に行って、滞在して、その街が持っている、僕の記憶じゃない記憶をその場所で探してみる、という作業をしたいと思っていました。

 今回の作品は、20名の俳優さんがこの街を歩いている、っていうシーンから始まって、それがどんどん海に向っていく。ランドスケープが山から海に向って行って、海に何が待ち受けているのか、がストーリーです。魚町銀天街とか旦過(たんが)市場とか、地名もどんどん出していこうと思っているのと、小道具や舞台美術もゼロからつくるんじゃなくて、この土地に実際に転がっているものを舞台にも転がしていきたいと思っています。

◆北九州で上演するということ―中央と地方の渾然化

藤田:
 9月に、岸田戯曲賞を取った後の初のフルスケールの作品を北九州でも上演しましたが、北九州は舞台に対してのレスポンスが凄く純粋なもので、僕はすごく救われた気持ちになりました。やっぱり、何時何処でもお芝居がやられている東京とこっちでは、同じ2500円とかをかけてお芝居を観るにしても、感覚や重さが違うと思うんですね。そうなると、僕や役者さん、スタッフさんもそこにかける密度が変わってくる。これからも、東京で創ったものを地方に持って来たり、今回のパターンのように他で創ったものを東京に持っていくという風に、どんどん日本っていう地図をぐちゃぐちゃしていければいいなと思っています。

 今回、東京の人達に北九州を紹介するっていう作品を創るわけではないし、北九州でやっても東京でやってもこの作品は新しいってことをやっていきます。ただ、"新しい"っていうのは観に来て貰わないと分からないので(笑)、とにかく観に来てください。僕にとって、かなり挑んだ作品になると思います。
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 藤田さんの作品創りに対する真摯な姿勢、そして力強い言葉の数々に、否が応にも期待は高まるばかり。お稽古も日に日に濃密さを増し、とにかく凄い作品になりそうな予感です!どうかお見逃しないよう、皆さん、劇場でお待ちしております!

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