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北九州芸術劇場 学芸ブログ

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2009年12月21日 14:53

エンゲキで私イキイキ、地域イキイキvol.05

『演劇LOVEワークショップ コミュニケーション編・想像力編』 1日目

講師/多田淳之介 会場/枝光北市民センター

2009年11月28日(土)

エンゲキを通じて、たくさんの人との出会いを楽しんで欲しい、という思いで始まった、
北九州芸術劇場・学芸係の新企画「エンゲキで私イキイキ、地域イキイキ」。
3回目は八幡東区の枝光北市民センターを会場に行われました!

こちらが今回の会場となる枝光北市民センターです。

枝光駅からすぐです。

今回のワークショップ講師は、
現在埼玉を拠点に活動している劇団「東京デスロック」を主宰する演出家の多田淳之介さんです!
多田さんは、演出家として国内外で活動すると共に、全国各地で演劇ワークショップを行っています。4月からは埼玉県富士見市にある市民文化会館キラリ☆ふじみの芸術監督に就任されます。

さわやかです。

そんな多田さんのワークショップのタイトルは...
「演劇LOVEワークショップ コミュニケーション編・想像力編」。
演劇LOVEな多田さんによる、みんなが演劇LOVEになるワークショップ。
そんな幸せ感たっぷりなワークショップに参加いただいたのは...
高校の演劇部の学生さんから市民センターで健康劇をされているお父さん・お母さんまで、多彩な顔ぶれ!
さぁ、いったいどんなワークショップになるのでしょう...

まずはじめに...
多田さんによる自己紹介を兼ねた、作品紹介です。
「再生」という作品と韓国で韓国の俳優と一緒に作った「ロミオとジュリエット」の2本。
一言でいうなれば、全く同じストーリーを繰り返す「再生」、「だるまさんがころんだ」による「ロミオとジュリエット」...
と言えるでしょうか...(もちろん一言では何も説明していないようなものですが...)。
とにかくあまり普段の生活の中では出会うことのないタイプの演劇作品といってよいでしょう。
ワークショップ参加者のみなさんの中にも、「どう反応してよいのやら...」という雰囲気が...
初対面の参加者にいきなり自分自身のコアな部分をさらけ出す多田さんもすごいです。
「再生」についてはこちらもご覧ください
http://deathlock.blog89.fc2.com/blog-entry-50.html

多田さんの作品を見て、多田さんの演劇LOVEトークを聞き...
ではそろそろ体を動かしてみましょうか...
ということで、まずは「仲間探し」からスタートです。

これは、
1.「好きな色は?」といった問いかけに対し、
2.頭の中で自分の答えを決め、
3.「よーいスタート」の合図とともに、自分の答えを口に出し、
4.同じ答えの人を探してグループを作るというゲーム。
まずは「好きな色」からスタートです。

「あかー!あかー!」「むらさきー!」

それぞれに自分の好きな色を叫びながら、仲間を探します。

お次は「北九州といえば?」

「鉄!」さすが八幡。

さて、ちょっと動いて体が温まったら...

次は、グループになって「ここ10年で枝光の変わった所」について1分程度のフリートーク。
年配の方が多いと、昔の話がポンポン出て来て興味深いです。

「枝光駅に急行が止まらなくなって不便になったね」
「へー、昔は止まっていたんですねー」

...そして、
ただ雑談しているだけかと思いきや、ここにきて多田さんからの指令が!
「今の会話を思い出しながら紙に書き出して下さい。」
参加者からは「えー、覚えてない!」の声も。
意識しないで話していると、すぐに忘れてしまうものですよね。

「そこ順番違わない?」「そうだっけかね」

「最初に九国大の話があって...」

お、だんだんできてきましたね。

会話を思い出しながら、「誰が」「何を」言ったかを書き出していくと...
あ、これはお芝居で使う「台本」ですね!

次は、この台本を使って、少し前の会話を「再現」してみます。

「私地元じゃないんで...」
「どこ出身なの?」

ごくごく普通の会話なのですが、
ちょっと前に起こっていたことを目の前で再現されると、タイムスリップしたような不思議な感覚に陥ります。

練習の後、みんなの前で発表してみます。

さらに、今度は隣の人と役割を変更しての再現に挑戦です。
つまり...高校生が70代のおじいちゃんになったり、逆におじいちゃんが高校生になったりしてしまうんですね。

「隣の人が言葉を発した時の気持ちや状況を考えながら再現してみましょう」、と多田さん。
例えば「枝光駅に急行が止まらなくなった」と発話した時のおじいちゃん。
なぜその言葉がでてきたのか、その言葉を発した時の気持ちはどんなものだったのか...
シンプルな一言も、それがどういう状況で出てきた言葉なのかを考えだすと、いろんな方向に想像が広がっていきます。

考えてみると、これは俳優が台本に書かれたセリフとどう向き合うか、という演劇の基本にも関わってくるエクササイズでもあるんですね。

湯川市民センターでのワークショップの際も、講師の南波さんがおっしゃっていましたが、「他人になってみるというのは」すごく些細な、でも根本的な演劇体験なのかもしれません。

なぜか爆笑シーンも。

1分間の会話を、いろんな形で再現しながら、
一日目のワークショップは終了しました。

講師プロフィール


南波 圭
なんばけい/俳優。大学卒業後NINAGAWAカンパニーを経てフリーに。蜷川幸雄演出作品やチェルフィッチュ、指輪ホテルなどの前衛的な作品になどに出演する一方、演劇ワークショップに関わり始める。子供からシルバー世代、障害を持った人たちなど、幅広い方々との多彩な演劇づくりに励んでいる。また、地元群馬県でお母さん世代と「かかあ祭り」をやるべく、ただいま画策中。

上田真弓
うえだまゆみ/大阪生まれ広島育ち。大学入学を機に沖縄へ。地元の劇団で演劇活動を始める。演劇企画「魚の目」を経て、フリーで劇作、演出、舞台・映像への出演を行う。ほかに、子どもたちのための演劇ワークショップや、一般の人のための朗読講座、表現ワークショップ。「ホエタマカイの夜」(98年)で沖縄市戯曲大賞佳作受賞。ウニココ楽団代表。珊瑚舎スコーレ講師/沖縄国際大学非常勤講師 ウニココ楽団 http://web.mac.com/unicoco/

多田淳之介
ただじゅんのすけ/1976年生。東京デスロック主宰。青年団演出部所属。「演劇LOVE」を公言し、演劇の幸せを宿志とし活動中。現代口語演劇から身体表現まで幅広く作品を手がけ、身体への負荷を利用した演出が特徴。海外での創作、国際演劇祭ディレクター、地域・教育機関へのアウトリーチなど、国際・教育・地域を軸に活動を行う。東京デスロックは2009年より東京公演を休止し、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみのレジデントカンパニーとして活動中。

吉栁佳代子
きりゅうかよこ/1975年生まれ・福岡県飯塚市在住ドラマティーチャー(表現教育家)・九州大谷短期大学非常勤講師・劇団翔空間 俳優・(特非)こどもと文化のひろば わいわいキッズいいづか事務局 ‘97年より演劇的手法の一つである「ドラマ」を用いて子ども達・おとな達と共にコミュニケーションから創作・創造への演劇活動を展開。小学校・NPO団体など北九州を始め県内を中心に実践多数。

有門正太郎プレゼンツ(有門正太郎・加賀田浩二)
ありかどしょうたろう/有門正太郎プレゼンツ主宰、1975年生。倉本聰主宰「富良野塾」、泊篤志代表「飛ぶ劇場」所属。役者として様々なツアー公演など参加する傍ら高校演 劇専科の講師経験を活かし、北九州芸術劇場「出前ワークショップ」「チャレンジ!えんげき09」の総合演出も務める。様々な人と出会い皆を満点の笑顔にしたいと考える。コンセプトは「日常的要素を持ち込み演劇的エッセンスを加えることで、より親しみ楽しんでもらおう」。

F’s Company(フーズ・カンパニー)福田修志
ふくだしゅうじ/F’s Company代表・劇作家・演出家。1975年生。長崎市出身。人の脆さを描いた作品や、『今の長崎』をモチーフにした作品を生み出している。「演劇を長崎の娯楽のひとつに」という想いから、どの作品にも必ず笑いを誘う要素を盛り込み、気軽に演劇を楽しめる環境作りにも取り組んでいる。昨今では、地元長崎の市民参加舞台において演出補佐を務めるなど演劇初心者への演劇ワークショップ的な指導も行っている。

柏木陽
かしわぎあきら/演劇百貨店代表/演劇家。1993年、演劇集団「NOISE」に参加し、劇作家・演出家の故・如月小春とともに活動。2003年にNPO法人演劇百貨店を設立し、代表理事に就任。全国各地の劇場・児童館・美術館・学校などで、子どもたちとともに独自の演劇空間を作り出している。近年の主な仕事に、兵庫県立こどもの館や、世田谷美術館での中高生向けワークショップの進行など多数。青山学院女子短期大学、大月短期大学、和光大学等で講師もつとめる。