月1ダンス部2008

北九州芸術劇場 学芸ブログ

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2008年08月02日 16:43

踊りの楽しみを味わう。

進行/中村恩恵
2008年8月2日(土)@大手町練習場

イリ・キリアン氏の振付『 Whereabout unknown』の一部を中村さんが踊ってくださいました。

1歩を踏み出す瞬間、その前からが舞台。
空気と一体化してそこにそっといるような、しかし風を切って情熱的で柔らかい。5分ぐらいの短い間、この空間だけ世界が変わりました。

0802-4.jpg

今回はこの振付の初めのワンシーンを体験。
1分ほどの振付を覚えるのですが、なかなか難しく身体が付いていけません。
一通り覚えてから、歩き方の練習。後ろに体重をかけて歩いてみる。前に体重をかけて歩いてみる。後ろに体重をかけると歩きにくくて、後ろに倒れてしまうんじゃないかと思って怖かったです。普段は無意識に歩けるのですが、こんな風に歩いていると赤ちゃんを思い浮かべました。立ち上がって一歩を踏み出そうとしているのだけど、尻餅をついてしまう。歩くという一つの動作、一つの動きも意味があるのだということを思いました。

中村さんが何度か言われたのですが「自分の後ろは過去だと思って歩いてみる。後ろに何か大事なものがあって、それを振り返るような、でも前には未来がある。優しい光が待っていて前に進まなければならない。」と。

壁側に手をついて後ろ向きに進んで行くという動きをしました。ちょうど中央まで歩いたら次は進行方向を向いて歩いて行く。私はなかなか壁から手を離すことが出来なかった。
壁を向いているときは過去を思っているということなので、色々と考えて。でも前に進まないと何も進まないんだなって。そんなことを考えながら歩いて、半分ぐらい歩いただろうと思って振り返ったらかなり通り過ぎていました。
他の方の動きも見るのですが、同じ動きをしていても人によってそれぞれ思いや表現が違います。過去を歩くときは恐る恐るなのに、前を向くと途端に後ろさえ振り向かずに進んで行く人、振り返ることがとてもゆっくりな人。何を思っているのかも聞いてみたいなと思いました。

先ほどの振付をもう一度やってみます。

0802-5.jpg


最後はみんなで驚かせ合い。
色々なところを歩いて、人に会ったら手を叩いたりして、相手をびっくりさせます。
でも笑顔でご挨拶。
3時間近くも一緒にワークショップを受けたのに、はっきり顔を見るということがなかったので、とても楽しかった。みなさま素敵な笑顔でした。

講師プロフィール


乗越たかお
作家・ヤサぐれ舞踏評論家。海外でも翻訳され、ベストセラーとなった「コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER」(作品社刊)は多くの大学でも採用され、世界最高のダンス・ライブラリ、NYリンカーンセンターをはじめ、パリのCentre National de la Danse(CND)にも収蔵されている。他に「ダンシング・オールライフ~中川三郎物語」「ドメイン~熊川哲也120日間のバトル」(ともに集英社)、「アリス~ブロードウェイを魅了した天才ダンサー川畑文子物語」(講談社)など著書多数。06年にニューヨークのジャパン・ソサエティからの招聘を受けて滞米研究。07年イタリアのダンス・フェスティバル『ジャポネ・ダンツァ』の日本側ディレクターを務める。現在は月刊「シアターガイド」、月刊「DDD」などで連載中。

中村恩恵
横浜生まれ。舞踊家。1991年から現代の舞踊界のリーダー的なカンパニー、ネザーランドダンスシアターで主要ダンサーとして踊ったのち、オランダをベースにフリーの舞踊家として活動。近年では自らの舞踊活動のかたわら、キリアン作品のコーチとしてパリオペラ座をはじめ、世界中のバレエカンパニーやバレエスクールで作品指導にあたる。07年、横浜に舞踊活動の拠点として、Dance Sangaを設立。

坂本公成
福岡県出身。大学で美学と人類学を学ぶ。’90年にMonochrome Circus結成。音楽家の野村誠や、山下残など複数のアーティストと活動を共にする。’96年「ダンスの出前」で有名な「収穫祭シリーズ」を開始。フランス、ドイツ、リトアニア、韓国、などでの、劇場、美術展から福祉施設、学校など、上演は国内外300回を越える。舞台作品でも、’00年の「リヨン・ビエンナーレ」で紹介されるなど、17ヵ国27都市で作品を上演。Monochrome Circusは昨年度から京都の老舗小劇場『アトリエ劇研』のフランチャイズ・カンパニーとして新たな活動を開始。一方、2008年で13周年を迎える「京都国際ダンスワークショップフェスティバル」のプログラム・ディレクター。京都芸術センター主催『Coaching Project』プロデューサーなどダンサー目線に立ったprojectから多くの若手ダンサーを育てている。

森裕子
日本一小さいコンテンポラリーダンサー。が、その小ささを感じさせない大きな空間と透明感のある動きが魅力。’93年にMATOMA France-Japonに参加以降、アヴィニヨン演劇祭など海外の大きな舞台に立ち続ける。’96年よりMonochrome Circusに参加。以降同カンパニーで振付・ダンスに活躍する。コンタクト・インプロヴィゼーションの指導者としても全国各地、海外でも活躍している。

じゅんじゅん
学生時代よりマイムをを始める。その後コンテンポラリーダンスでの活動も開始。ソロ作品を発表するほか、岩淵多喜子、伊藤キムらのダンス公演にも多数出演。パフォーマンスシアター水と油を創設メンバー。水と油のメンバーとして、結成の1995年から一時休止の2006年3月までに国内22都市海外9ヶ国22都市で公演を行う。生まれ持っての空間を捉える才能と、独自の身体の動きでダンスファンのみならず多くの観客を魅了してきている。2007年、横浜ダンスコレクションR横浜ソロ×デュオ<Competition>+にて『審査員賞』受賞。その他、世田谷パブリックシアター野村萬斎演出の『国盗人』やNHKドラマ『トップセールス』におけるダンスシーン振付・出演など演劇やテレビ等の分野にも活動の場をひろげる。ダンスラボ2007「迷路のつくりかた」(2007年9月北九州芸術劇場 企画・製作)振付・演出。