1:もしも蒲団がひけたなら、 

March 07, 2007

思いのすべてをおひさしぶりの挨拶にして

おひさしぶりです!

一年ぶりです、市原幹也です。
今回は、脚本、演出、ビジュアルディレクション(※1)を担当しています。

今年も来ましたNGTの季節。
もうすぐ春ですね。

さて、今年ののこされ劇場≡。
原作:田山花袋 作/演出:市原幹也
「蒲団 -futon-」を上演いたします。

今までののこされ劇場≡の作品のなかでは
核の部分が同じでありながら見せ方がぜんぜん違う。
そんな作品になると思います。
というのは・・・、

と、ここでイキナリ詳しく書いちゃうとアレなんで、
このブログで順序を追ってきちんと書きましょうね。

つきましては、今後このブログ「もしも蒲団がひけたなら、」
何を書き綴って行くのかというと、以下のようなものです。

▽公演についての詳細
1、キャストやスタッフについて
2、ホームページでは紹介しきれない、リアルタイムなおしらせ

▽公演を観た時に、知っているとニヤっとできる情報
1、原作について、ぼくの解釈
2、脚本を書いたときに行った試行錯誤&考察
3、演出するに向けての資料紹介&考察
4、マニアックなみどころ

▽3年目のNGTに対する思い
1、今迄、どうだった?
2、これから、どうする?

以上のようなことをアレします。
お楽しみに。

そして。
のこされ劇場≡公演のお楽しみは作品だけじゃない。
3月14日(水)「ホワイトデー」までにチケットを予約すると!?
なんと、キャンディーがもらえるというのです。

予約特典「のこ劇≡特製金太郎飴」をもれなくプレゼント!
(公演当日、会場の受付でチケットと一緒にお渡しします。)
こちらが写真。
東京の本場老舗「金太郎飴本店」にオリジナルデザインで発注しました!
この機会を逃さずに今すぐメール(nokosare@yahoo.co.jp)を!
《お名前/希望日時/枚数/連絡先(※2)をご記入ください。》

すでに稽古も開始され、東京組(※3)も合流!
今後のブログにご期待ください。
「もしも蒲団がひけたなら、」
思いのすべてをアレにして、みなさんに届けることになります。
よろしくお願いします!

のこされ劇場≡
http://roo.to/nokogeki/

(※1)この公演に関する、お客さまが「目にするもの」すべての造形・デザイン(例:美術/衣装/メイク/宣伝材料/グッズ等)は、全て市原の意図によって構成されている。
(※2)いただいた個人情報は、厳重に管理し、本公演のチケットに関する連絡以外には使用致しません。
(※3)G2プロデュース公演等で活躍する松下好。そして東京「bird's eye view」等で活躍する明石修平のふたりを指す。

Posted by 市原幹也 at 01:29 PM

March 14, 2007

思いのすべてをNGTへの情熱にして

やあ。
のこされ劇場≡、市原です。
今回はNGTについて書いてみます。

まず、NGTってなんでしょう。
正式名称「Next Generation's Theater」です。
んじゃ、それってなんでしょう。
北九州芸術劇場が2005年より企画・製作し、実施。
若手クリエーターに「場」を用意し、若手カンパニーと共に作品を作り上げる演劇フェスティバル。
と、今年は認識しています。
そして、そのNGTは今年で最後。
のこされ劇場≡は初年度より、3回、参加させていただいでおります。

では、のこされ劇場≡にとって、NGTってなんでしょう。

初年度。
ライブハウス出身ののこされ劇場≡。
劇場で演劇をする、ということ自体が初めてでした。
「劇場を使用する」ということに、知らないことだらけでした。
それは、やりたいことをカタチにする方法を知らないということ。
そのことで、判断と製作に時間がかかる。
今までにないスケールで作品を完成させることができた反面。
たくさんのくやしい思いを「収穫」できました。

その収穫をカンパニーの成長につなげて挑んだ2年目。
しかし、ものづくりには欲がでるもので。
ここまで作れるようになった、と思えばもう少し先へ進みたくなる。
つまり、できることも増えれば、できないことも増える。というか。
そこでも、達成感と同じくらいのくやしい思い。
しかし、初年度とは比べ物にならないくらいの経験を得ることができたような気がします。

そして今年、3年目ののこされ劇場≡。
のこされ劇場≡の旗揚げが2003年。
北九州芸術劇場も、同じく2003年に誕生しました。
ぼくらの側にずっとあった、北九州芸術劇場。
たぶんこれからも。
そこに、いままでの集大成としてのこす作品。
でもね、これは結果でもあり、過程です。
つぎに伸びる線を見せる、大きな点です。
きれいにまとめたりしません。
これまで得て来た収穫を駆使して、そこからはみ出します。
そんな思いです。

ということで、「蒲団 -futon-」ですが。
現在、かなりのテンションで稽古しています。
ぶおーん。
おたのしみに。

公演の詳しい情報はこちら。
のこされ劇場≡ホームページ
(↑劇中に登場する架空の劇団「劇団プラスチップ」の稽古場日誌が見れます!!)
あるいは。
「蒲団 -futon-」特設ページ
(↑今年度はリバーウォークのモニターでアレしてもらないくらい「こわい」アレも、ここなら見れます。)

さあ。
もしも、当日、会場でみなさんにお会いすることができたら。
もしも蒲団がひけたなら、思いのすべてをアレにして君に伝えることだろう。
ということで、今日はここまで。
次回は、作品について書いてみましょう。

じゃ。

Posted by 市原幹也 at 04:28 PM

March 21, 2007

思いのすべてを、「蒲団」という選択にして

今回のNGTは「文豪」をテーマに各カンパニーの3者が、創作しています。
藤本くんは、鵜飼さんは、なぜ、原作をそれにしたのだろう。
ぼくがそう知りたいように、ぼくがお会いするライターの方々や関係者のみなさんからも、同様の質問をいただきます。

のこされ劇場≡の場合はどうだったんでしょう。
なぜ、田山花袋の小説「蒲団」だったのか。

▽「蒲団」ってなに?
花袋に師事していた弟子の岡田美知代とのかかわりをもとに描いた小説。日本における自然主義文学、また私小説の出発点に位置する作品で、末尾において主人公が女弟子の使っていた蒲団の匂いをかぐ場面など、性を露悪的にまで描き出した内容が当時の文壇とジャーナリズムに大きな反響を巻き起こした。

▽「蒲団」のあらすじは?
34歳くらいで、妻と三人の子供のある作家の竹中時雄のもとに、横山芳子という女学生が弟子入りを志願してくる。始めは気の進まなかった時雄であったが、芳子と手紙をやりとりするうちにその将来性を見込み、師弟関係を結び芳子は上京してくる。時雄と芳子の関係ははたから見ると仲のよい男女であったが、芳子の恋人である田中秀夫も芳子を追って上京してくる。
時雄は監視するために芳子を自らの家の2階に住まわせることにする。だが芳子と秀夫の仲は時雄の想像以上に進んでいて、怒った時雄は芳子を破門し父親と共に帰らせる。そして時雄は芳子のいない空虚感のために、芳子が寝ていた蒲団に顔をうずめ、泣くのであった。
(出典:フリー百科事典『ウィキペディア』)

選定の理由に「蒲団」が優れた文学作品であるということは、大前提であります。
さらに、ぼく個人とそれを引き合わせた理由は、大きく分けて2点あります。

1、登場する主人公の滑稽さを、自分のそれを愛するように愛してしまった。
2、作品そのものよりも《田山がした「蒲団」という行為》に、惹かれた。

今回は、最初の「1」のことについて、少し書いてみようと思います。


1、主人公「竹中時雄」≠田山花袋への愛
彼は、愛すべき人間です。
ぼくは、愛しました。
以下、ぼくが愛した彼のことを断片的に。

▽通勤途中によく見かける「女教師」へのあこがれ
平凡な毎日にも楽しみがあるんだ。
あの子、いいなあ。
かわいいなあ。
つきあいたいなあ。
でも、ぼくには妻も子供もいるしなあ。
やつらがいなかったらいいのになあ。

▽女弟子、横山芳子への執念
若いなあ。
かわいいなあ。
好きって言っちゃおうかなあ。
でも、ぼくには妻も子供もいるしなあ。
それに、弟子に手を出しちゃまずいなあ。
今日は、何を教えてあげようかなあ。
戦後の女の在り方、とか?
海外の女性ってこんなにもアレだよ、とか?
ドキドキするなあ。

▽横山芳子に彼氏ができてからの狂気
彼氏ができたとか、マジありえない。
ふしだらな。
いてもたってもいられない。
彼女をとられたくない。
だけど、ぼくと芳子は付き合ってるわけでもないし。
彼氏を芳子に近づけないためにも、どうすれば。
ああ、悩む。
ていうか、キスとかしたのかなあ。
アレは、もうアレしたのかなあ。
わああああああああ。

▽チクり大作戦
彼氏が、芳子の近くをウロウロしているらしい。
もう、気が狂いそう。
嫁よ、もっと酒をもってこい。
家では子供がうるさいので、たたいてやった。
ああ、ちゃぶ台もひっくり返したさ。
それでも、気が治まらない。
そうだ、もう、これしかない。
横山芳子の実家のお父さんに、ふしだらなアレをチクってやろう。
んで、激怒させて、実家に連れて帰ってもらおう。
そうすれば、彼氏と芳子を遠ざけることができる。
いっひっひ。

▽物語のおわりに
ざまあみろ、彼氏くん。
横山芳子は、遠く離れた実家に帰ったぞ。
もう会えまい。
ぼくの勝ちだ。
いっひっひ。
あ!
あれ!?
ということは、ぼくも彼女に会えなく・・・
いやだ、会いたい、でも会えない。
でも会いたい、どうしよう。
わああああああ!!
そうだ、彼女が下宿してた部屋に行ってみよう。
あ、彼女が残した着物だ。
懐かしいなあ、匂いをかいでみよう。
くんくん。
あ、なんだか余計に虚しさが。
彼女の使っていた蒲団もある。
哀しい。
この蒲団の上で、おもいっきり泣いてやる。
泣いて、全部忘れてやる!
わああああああああ!!

以上。
ぼくは、彼を愛さずにはいられない。

次回も、ぼくが「蒲団」を選んだ理由について続きをお話します。
それではまた。

PS
現在、北九州芸術劇場がある施設「リバーウォーク北九州」のホームページにて
のこされ劇場≡「蒲団 -futon-」の特集が大々的に組まれています。

《前編》作/演出:市原幹也インタビュー

《後編》俳優:沖田みやこインタビュー

《おまけ》のこされ劇場≡「蒲団 -futon-」人物相関図

なんとチケットプレゼントもあり!
そちらも、ごらんくださいね。

Posted by 市原幹也 at 01:18 PM