[戯曲講座] ツクダ式戯曲講座
第七回(8月12日(土)14:00〜18:00)
今日の提出はそれぞれ20ページ〜30ページと、とりあえずは順調な様子。
前回はそれぞれの提出枚数も少なかったので初めに音読を行いましたが、今回は音読なしで作者に大まかな内容を説明してもらっての講評です。
植物状態の次女が一時退院をして家に戻って来る話を書いた作品で、寝ている次女のベッドが置かれた部屋で家族が揃ってご飯を食べるシーンがありました。
これは「かなり劇的でいい。」と佃氏は言われました。
佃氏自身、昔6畳一間に家族4人で住んでいたことがあり、おばあさんが亡くなった時に祝日を挟んでいたのですぐにお葬式があげられず、死体を2日間部屋においた状態で家族が寝起きをしたという話をしてくれました。
死体がすぐそこにあるにも関わらず、家族は普段通りに一つの部屋でテレビを見たりご飯を食べたりしたそうです。
佃氏は、自身の経験からも植物人間のいる部屋で家族が食事をするというシーンはとても刺激的だと言われました。
この作品では、そろそろ結婚を・・・と考えている長女が自分の家族に植物人間がいるということでなかなか結婚に踏みきれずにいるという設定です。
作者からも「もしも、結婚相手の家族に植物人間がいたら気になるか?」という質問がみんなに出され、様々な回答がありましたが、ある男子受講生は「その植物人間が家族にどれくらい依存しているのかによる。それに、そういうことは結婚直前まで黙っているのではなく、できるだけ早く言って欲しい。」ということでした。
↑提出された作品に対してみんなで意見を言い合います。
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第六回(7月29日(土)14:00〜18:00)
いよいよほぼ全員が書き始めていて、今回は戯曲の出だしの部分が提出されています。
小学校のPTAの役員をしている父親4人とクラス担任の教師を登場人物に書いた受講生に佃氏から「書いていてどんな調子?」と質問がありました。
「登場人物の一人一人を登場していく時に説明しながら書こうと思って書いていったけど、それぞれ誰なのかきちんと書けていないような気がします。」という答えが返りました。
佃氏は、読んでいる限りその心配はなく、その代わり作者が軸に置こうとしている人物が読み手の予想する人物とは異なることを指摘しました。
作者が中心に置こうとする人物が担任の教師であるなら、戯曲の前段階で彼が不在がちなのが気になるというのです。
それから、これは他の受講生も同様、話の展開が早くなりすぎていると。
「この感じだと20〜30分の話で終わってしまいそうな気がするんだよね。これから先、手詰まりになるのでは・・・?」と言われました。
佃氏は「例えは、コラムでりんごの話を300字で書くとしてどう書く?」とみんなに質問し、そのりんごが青森産の“つがる”であることや、生産した農家について、栽培方法を書くなどの答えが返りました。
「それじゃあ、5000字で書くとしたら?」という質問には、アメリカと日本のりんごの対比、文学作品におけるりんごの扱われ方、りんご以外の果物についての話を書くという答えが。
佃氏は、それと同様で1時間ものの戯曲を書くときは一つの話では時間がもたないので、関係のない(直接的ではない)話をいくつか入れて広がりをもたせる必要があることを話されました。
↑今日は欠席多くが多く、佃氏以外は全員女子の講座風景。
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第五回(7月15日(土)14:00〜18:00)
今回は書きたいものを全員テキストにまとめてきていて、前回のように口頭だけの発表の人はいませんでした。
初めの受講生の作品は、とあるお寺の居間に水子供養に集まった女5人の話です。
登場人物の女のうち一人は、お寺の住職の奥さんで妊娠できない身体。
二番目の女は不妊治療の末にやっと妊娠したけれど、階段から滑り流産。
そのことを夫や夫の両親に責められ、自分は単なる子どもを産む道具に過ぎなかったのか・・・と思い悩んでいる。
三番目は夫の暴力のせいでせっかく妊娠した子どもを流産。夫は酒を飲まない時はとても優しく、自分がいないとダメな人。
とはいえ、夫のほうが依存しているようで実はお互いに共依存状態。
4番目は大学生。
付き合っている人の子どもを妊娠したが育てられないので中絶。
けれども相手はその辛さを理解せず、自分もまた軽率な行動で一つの命をなくしてしまったことに苦しんでいる。
5番目は性同一障害で、身体は男であるが心は完全に女。
子どもを産みたくても絶対に産めない。
と、それぞれが個人的な事情を抱えながら水子供養の説法で有名な住職の話を聞きに集まったのだが、肝心な住職はカラオケに行っていて留守。
そこに集まった女たちがポツリポツリと話をし始めるという設定です。
妊娠、中絶、流産・・・etcと、子どもを産まないあるいは産めない様々な状況を設けているものの、佃氏から突っ込んだ質問が出されると受講生は細かいところまでは考えていなかったようでした。
「2番目の女は何歳?」という質問では「20代半ば」という答えが返り、その年では子どもを産めるチャンスがまだあるので説得力に欠けるということです。
「例えば30代後半とかにして、後にチャンスがない方がよいのでは?」とアドバイス。
「4番目の女の彼氏は具体的にどんな人なのか?同じ学生なのか社会人なのか?」
佃氏は、相手も学生だと学生結婚という可能性もあるから不倫である方が中絶する理由になりやすいと言われました。
それから、女たちがどこから集まって来ているのかも大切だということです。
「水子供養で有名な住職の噂を聞きつけてわざわざ集まって来ているくらいなので、近くではなく全国各地からにする方がいい。(※物理的欲求は大きいほどいい。)例えば、ネットで住職の奥さんが自分と同じような仲間を集めたい為にネットか何かで嘘の情報を流し、それによって女たちが集まったという話でもいいかも。」と。
この作品の考案者である受講生はまだ若く男性なので、こういうテーマはどうしても難しいのかもしれません。
佃氏は「今回で固めて明日から書き出せるようにしないともう間に合わないけど、書けそう?」と聞くと、受講生は「なんとなく。考えなくてはいけないことが分かってきた。」と答えていました。
↑佃氏がホワイトボードに書いた絵。
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第四回(7月1日(土)14:00〜18:00)
先週、受講生のうち一人の劇団の公演が行われたようで、観に行った人も何人かいました。
みんなでそのお芝居についての話をした後、佃氏が一枚のチラシを配りました。
それは、佃氏が作・演出する劇団うりんこの「パイレーツ オブ 花山田小学校」という公演のものでした。
子供のためのお芝居の上演を行う劇団うりんこに依頼され、本当は昨年の冬休みに上演する予定だったのが延長してこの夏になったとのこと。
その戯曲を書くのに、昨日は久しぶりに完徹したそうです。
「児童劇は4,5本目になるけれど、書いていて不安になることも多い。」と佃氏は言います。
なぜならば、子供たちは正直なので退屈だと絶対見ない、それが怖いのだとか。
飽きるといけないから会話の途中でアクションを入れなくては・・・etcなど、普段以上に気を使うとも言われました。
「このお話はタイトル(パイレーツ=海賊)にもある通り、なんとなく想像がつくじゃない?それを期待通りにしつつ、それを超えなくてはならない!と思ってかなり手こずった。でも、このお芝居が夏休みに上演されると(児童劇は全国の小学校などあちこちまわるので)もしかしたら九州にもやってくるかもしれないなあ。そうなると不労収入が入る!いいんですよ、児童劇は。(笑)」と佃氏はニヤリ。
↑「パイレーツ オブ 花山田小学校」のチラシより。
佃氏も海賊になっています。
劇場塾2006後期 [俳優“実践”講座(1)] 舞台で活きるために〜身体の即興性を取り戻す〜
俳優実践講座(1)概要と募集要項
劇場塾後期
●俳優実践講座(1) 『舞台で活きるために〜身体の即興性を取り戻す〜』
日程:2006年9月26日(火)・27日(水) 全2日間
講師:絹川友梨
会場:北九州芸術劇場 小劇場
受講料:3,000円(全2日分・講座初日にお支払いいただきます)