2008年08月08日
■8月2日(土) ワークショップ 進行/中村恩恵
イリ・キリアン氏の振付『 Whereabout unknown』の一部を中村さんが踊ってくださいました。
1歩を踏み出す瞬間、その前からが舞台。空気と一体化してそこにそっといるような、しかし風を切って情熱的で柔らかい。5分ぐらいの短い間、この空間だけ世界が変わりました。
今回はこの振付の初めのワンシーンを体験。
1分ほどの振付を覚えるのですが、なかなか難しく身体が付いていけません。
一通り覚えてから、歩き方の練習。後ろに体重をかけて歩いてみる。前に体重をかけて歩いてみる。
後ろに体重をかけると歩きにくくて、後ろに倒れてしまうんじゃないかと思って怖かったです。普段は無意識に歩けるのですが、こんな風に歩いていると赤ちゃんを思い浮かべました。立ち上がって一歩を踏み出そうとしているのだけど、尻餅をついてしまう。歩くという一つの動作、一つの動きも意味があるのだということを思いました。
中村さんが何度か言われたのですが「自分の後ろは過去だと思って歩いてみる。後ろに何か大事なものがあって、それを振り返るような、でも前には未来がある。優しい光が待っていて前に進まなければならない。」と。
壁側に手をついて後ろ向きに進んで行くという動きをしました。ちょうど中央まで歩いたら次は進行方向を向いて歩いて行く。私はなかなか壁から手を離すことが出来なかった。
壁を向いているときは過去を思っているということなので、色々と考えて。でも前に進まないと何も進まないんだなって。そんなことを考えながら歩いて、半分ぐらい歩いただろうと思って振り返ったらかなり通り過ぎていました。
他の方の動きも見るのですが、同じ動きをしていても人によってそれぞれ思いや表現が違います。過去を歩くときは恐る恐るなのに、前を向くと途端に後ろさえ振り向かずに進んで行く人、振り返ることがとてもゆっくりな人。何を思っているのかも聞いてみたいなと思いました。
先ほどの振付をもう一度やってみます。

歩き方の練習をしただけなのに、格段に美しくなりました。
最後はみんなで驚かせ合い。
色々なところを歩いて、人に会ったら手を叩いたりして、相手をびっくりさせます。でも笑顔でご挨拶。3時間近くも一緒にワークショップを受けたのに、はっきり顔を見るということがなかったので、とても楽しかった。
みなさま素敵な笑顔でした。
Posted by mt_master at
18:36
■8月2日(土) ビデオ作品鑑賞会 進行/中村恩恵
北九州で公演が行われたNoism07が踊る中村恩恵の作品“Waltz”を鑑賞します。作品の解説と共に、実際に作品内で行われていたワンシーンを体験してみます。
わっしょい百万夏まつり(8月2日〜3日)が開催されており、小倉の街は人が多く、とても賑やか。
本日は大手町練習場にて中村さんの作品の鑑賞と解説を受けます。
“Waltz”は神話を基にした題材で、昔は完全だった人間が、男と女に分かれてお互い不完全なものになってしまう。そのことは、男と女、精神と肉体、光と闇、全体と個人、という全て対比できるものとして考えられ、その対比(男女)がワルツを踊ることによって完全な存在に戻る。

舞台が始まると男性が一人で喋っている。
男女が現れる。始めは静の動きで言葉の対比を表現し、その表現者が男女ということではっきりと際立ったものになっている。喋っている男性は舞台上を傍観者のように動き、少し冷めた目で見ているのが印象的。対の関係という点でものを見るのであれば、舞台の表現者を動と考えるなら、観客である私たちも静という対なのではないかと錯覚してしまいました。
照明も効果的に使われており、流れが少し切り替わるところもつながりを持たせ、落ち着いたトーンでした。舞台はとても淡々としているのだけど、対比を表現していたはずが、いつの間にか同じ動きをしていたり、全くつながりのないことをしていたり、秩序的なものから無秩序へ。
人間がそういったものではないかと思い始めました。生まれたときは真似から始まるのだけど、時が立つにつれ、自分の考えを持ち、時には反抗したり、周りと同じようにしたいと思っていても出来なくて、でも同じようにできなくても自分というものを表現できるようになる。個々の表現=自分の世界観を持っていても全体(人と人)とのつながりは切ることができず、それが秩序のある世界、ということになるのではないかと。
ひとつぶの砂の中に世界をのぞき
ひともとの野辺の花にも天国を見る
手のひらには無限を握りしめ
そして、ひとときの中に永遠を
(ウィリアム・ブレイク『無垢の兆し』より)
この詩が“Waltz”で表現されているということを聞いてから改めて作品を見ると、このような考えが生まれてきました。作り手の方の話を聞ける、ということがほとんどないので、その思いを聞くとまた違った見方が出来るようです。
少し休憩を取ってから身体を動かしました!
ストレッチを行い、『人のコピー』。
右の人の動きをそっくりそのまま真似していく。伝言ゲームに似ています。

右の人の真似をします 少し違ってきています
一周して戻ってきたとき、違うポーズになっていました・・・。真似をするのも難しい。
ビデオ作品鑑賞会はここで終了。
18:30からワークショップが始まります。
Posted by mt_master at
18:23
2008年08月01日
■7月15日(火) ワークショップ 進行/中村恩恵
ダンスを踊ったことのない私がワークショップに参加・・・できるのかな?
と不安を抱えつつも稽古場へ。まずは参加者全員で円になって一人ずつ自己紹介。
ストレッチをしつつ、少しずつ身体を動かし、身体を感じてみる。
『身体を感じる?』
身体のここの部分を使っているんだよ。と自分に意識させ、どんな風に動いているのか、どんな感覚なのかを感じてみること。
<少し想像してみてください>
「まず、仰向けに寝て、海辺の砂浜の上にいることを思い浮かべます。
そのまま砂浜の砂を右手ですくって高く上げ、上げたらその砂を少しずつ落とし、手が軽くなるのを感じながら、手も砂の上に下ろしてみて下さい」
普段何気なく出来ている動作も、意識してみると、どんな感じだった?砂ってどれぐらいの重さなんだ?どうやったらすくえるの?どんな手触りだった?砂は湿ってる?乾いてる?色んなことを想像して、今までの経験を思い出しながら動かしてみる。
普段手や指を意識することがないので、とても不思議な感じです。

中村さんの優しい口調で進んで行くので、とっても落ち着きます。
スタートはみんな同じなのに砂をすくって落とす動きや、速さが一人ひとり違っていて、感覚や時間も違うみたいです。
砂をすくう量も人によって違うのかも。
(画像:進行役の中村さん)
次は『ラインゲーム』。周りの人の動きを感じつつ自分で考えて動いて行きます。
8人ずつのグループを作って1列に並び、前に歩いたり後ろに歩いたり、立ち止まったり、座ってみたり、隣の人が先に歩いて行ってしまったから、後ろからゆっくり付いていってみようかな。次は抜かしてみようかな、等など。みんな違う動きをするのだけど、周りの人の動きや気配を感じることで、つながりがあるように思えてきました。
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私が一番楽しかった、『相手にギフトをあげてみる』。
2人1組になって、片方が目を瞑り、片方が相手に触らないように動きで気付いてもらう。手で風を送ってみたり、足音を立てたり、背中に回ってみたり。ギフトを渡したいのだけど、なかなか気付いてもらえなくて、でも本当は気付いているんだけど、もうちょっと目を瞑っていようかなっていうやり取りが楽しくて。
目を瞑ってしまうと周りのことが分からないって思っていたのですが、人の気配ってよく分かる!!これは驚きました。風の動き・体温・足音・呼吸とか、普段は意識していないことを意識することによって感じられるようです。

手で風を起こしてみたり 身体の側に寄ってみたり
ダンスってしたことないから付いていけないかも、と思っていたのですが、とっても楽しかった!ちょっとみんなで身体を動かしてみようよ!というぐらいの入り込みやすさ。
私とペアを組んでくださった方、本当にありがとうございました。
Posted by mt_master at
11:58