月1ダンス部:踊ってみる編★7月★1日目

「ただ立つことから始めてみよう」/進行:小野寺修二
2010年7月3日(土) 14:00~17:00 @北九州芸術劇場 創造工房


7月の月1ダンス部では、
カンパニーデラシネラ主宰の小野寺修二さんを進行役にお迎えしました。
今回は2日間のワークショップを通して、
高校生・大学生を対象に、「立つ」、「触る」
というような日常の何気ない動作について
小野寺さんにレクチャーしていただきます。

★本日の進行役:小野寺修二さん
   
「カンパニーデラシネラ」主宰。
ダンスや演劇などのジャンルにとらわれない
ユニークな作品づくりが国内外で高く評価されており、
作品制作はもちろんのこと、演出家としても、精力的に活動しています。

 

↓↓ワークショップのようす↓↓
1日目は高校生10名、大学生9名が参加しました。


まずは、円になってジャンプしました。
 


次は、腰を落として歩きます。
縦横無尽に回転しながら、ぶつからないように動き回ります。

 
くるくるくるくる
音楽に合わせてコーヒーカップのように回りながら移動。

 

◆小野寺さん
『等速(とうそく)』=常に同じスピードで動くこと
今回のワークショップでは、この『等速』という動きを獲得してほしい。
カクカクしないようにスーっと、同じスピードで動くにはどうしたらいいか、を考えてほしい。
また中腰で使う腿(もも)の筋肉を鍛えて『等速』という動きを獲得していきたい。」

 

そして、『等速』を頭に入れたままゴロゴロと床を転がります。

ゴロゴロー


今度は、物を使って『等速』にチャレンジ。
3人1チームになり、単行本くらいの大きさの板を
スピードを変えずにリレーします。

スーッ
 

ススーッ

スス?

スイ―ッ

 

◆小野寺さん
「あくまで「板」を主役にして、このリレーを見せ物にしたい。
単なるバケツリレーにせず、板が動いている感じで。
人は出来るだけ消し、でもダイナミックに動いて!」


シュワッチ!
みんなでアイデアを出し合って、こんな渡し方もありました!

 

◆小野寺さん
「稽古やワークショップでは"熱中する"ということが大事。
熱中したり、夢中になるのはちょっと恥ずかしいかもしれないけど、僕は人間的に"熱中できる"人が好き。
ちょっとバカになるという、僕は日常からそうありたいと思っちゃう(笑)
冷静さと熱中を両立させることが大切で、しれっと冷静なだけでは足りない。
日常でも稽古でもそういう引き出しを持ち、
それを開けられるかどうかが、心を動かすということにつながる。」


お次は、四股を踏む態勢のまま前へ進みます。
女の子だけど頑張って(笑)
普段使わない股を意識するのもいいのだそうです。
かなりきつそうでした。
 
 
キツイ~!

 

◆小野寺さん
「日常であまり意識して使わない股は意外に硬いが、
相撲の四股や能などの動き、正座という文化のある日本人は、腰を落とす態勢に馴染みがある。
普段から意識して使うと良いと思う。」


今度は、綱渡り。
床板を綱に見立ててバランスを取りながら歩いてみます。

揺れている感じで腰から下を上下させながら動いたりもしました。

 

◆小野寺さん
「そこが50メートルの高さだという設定であれば、
役者は、"そこに立つ"だけで観客に50メートルの高さを見せなければならない。
セリフをしゃべるとか、いろんなテクニックを身につけることも大切だが、
まずは"そこに立つ"という身体、を獲得してほしい。
それには、どのくらいイメージできているかが重要になる。」


この後は、全員で歩く。
バラバラに歩きながら、次の動きをやってききます。

●誰かが止まったら全員動きを止める
●両手を挙げた人に、両手を挙げて寄っていく
●「見て!」と言いながら足踏みした人に、ほふく前進をしながら寄っていく
●馬のように風を感じて、同じ方向に周りながら走る
●「これ何?」と指をさし、指された人は「○○」と答え、みんなで答えを繰り返す

 


◆小野寺さん
「"間(ま)"と"リアル"について。
友達に「これ何?」と聞かれたら、普通に答えると思うが、
電車で全く知らない人に「これ何?」といきなり聞かれたらちょっと引く、そういう感じ。
知っている人同士だと生じない"間"で答えたい。

ルール通りに、「これ何?」と指された瞬間に「○○」と答えても、
そこには何も感情がなく、それってどうだろう。
答え方も"ただ答える"のではなく、
いろいろ考えて自分がどうしたいかを決めてほしい。」


 

 
ただ歩く。ひたすら歩く。

 

 

<●両手を挙げた人に、両手を挙げて寄っていく>のようす
 
手を挙げました!
 
集まります。
 
手を下げました。
 
何事もなかったようにまた歩き出します。

 

<●「見て!」と言いながら足踏みした人にほふく前進する>のようす
 
見て!見て!
 
もっと見て!
 
動きをやめると、
 
何事もなかったように、散っていきます。


<●「これ何?」と指をさし、指された人は「○○」と答え、みんなで答えを繰り返す>のようす
 
「これ何?」
 
「か、肩。」
指をさすのをやめるまで、みんなで「肩」と言い続けます。

 

◆小野寺さん
「一生懸命やることで、初めて見えてくるものがあると思う。
熱を込めたり、熱中したり、歯を食いしばって頑張る、それだけで全然違ってくる。
稽古でやって、できるようになると1つ上のレベルのことができるようになる。」

 

 

みっちり3時間のワークショップ、本日はここで終了です。
明日はどんなことをするのでしょうか?


ワークショップ終了後、特別にビデオレクチャーをしていただきました!
小野寺さんが普段どういうことを思いながら作品を創っているのか、
振付のコツなど小野寺さんが手がけた過去の作品のビデオを観ながら
解説も交えつつお話していただきました。

 

◆小野寺さん
「ストーリーは作っているが、セリフはないので視覚的なものや動きで伝えないといけない。
 "分からなくていい"と思っている訳ではなく、観てくれた方なりの受取り方でいい。
その日の気分によっても受取り方は変わってくるし、"出演者がかっこいい!"とか
"出演者の誰かに感情移入する"など、いろいろな受取り方があっていい。
この世界、いつ先がなくなるかは分からない。他人の評価を気にしていてはキリがない。
自分がおもしろいと思うものを続けて行くだけだ。」


景気の良いバブルの時代に、サラリーマンをしていた小野寺さんは、
27歳の時に急に思い立ち、この世界に入ったそうです。
途中から小野寺さんの人生論にもなり、
常に危機感を持って作品創りに向き合っているというお話は、非常に心を打たれました。

参加者の中にも劇団を立ち上げようとしている人、
卒業しても演劇を続けたいと思っている人もいて、
第一線で活躍しているアーティストの生の声を聞けた貴重な機会となったようでした。

 

学芸事業とは?

北九州芸術劇場では、地域の人々とつながり、ともに育っとはていくために、学校や地域でのアウトリーチ(教育普及)活動や、作品の創造を支える専門家を育成する講座、舞台芸術を身近に体験してしてもらうワークショップなどの学芸事業を行っています。

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