2006年04月19日

第8話 友人への愛
[2:さかな公団のLOVE色々]

その友人は高校のときの同級生で、私が仲良くしていた女の子のグループのうちの一人だった。
友人は、人の悪口なんて滅多にいわなかったし、優しくてたまにとぼけた人柄が周りにいる人を和ませた。
友人は去年死んだ。電車に飛び込んで自殺した。
あまりに突然であっけなくて何も思うことができなかった。

葬式に出席したけど、そこでも悲しみより先に「なぜ死んだんだろう」という怒りのほうが先に立ってしまって泣いている友達に悪いような気がして早々と帰った。

今でも思う。なぜ死んだ?
自殺した日の直前に会った友達もいたけど、皆、「気付いてあげられなかった」と言った。
死んでしまったのだから、本当の原因なんてなにもわからない。
それに、もしかしたら本人だって本当の原因なんてわからないかもしれない。
それほどに、死の影というのは唐突にやってくるものなのかもしれない。

それにしても自分で命を絶つというのはどういうことなのだろう。
最後に友人の見た光景はなんだったのだろう。
1年ちょっと経った今でも、その友人に対して思う私の気持ちは疑問だらけだ。
それでも変わらずに思うことは、どんな理由があろうとも死なないで欲しかった。
それだけだ。

「明日のマコ」はそんな友人が最後に見た光景を描いた話。
本当のところは本人に聞いてみなくちゃわからないけど、ただ、人間はどんなことがあっても「生」にすがっていて欲しい、そういう話。

稽古も最高潮に伸びざかりの時期。
お話は確かに少し暗いけど、楽しいところもありますから安心してください。
2日後をお楽しみに。是非、足をお運びくださいませ。

Posted by 鵜飼秋子 at 2006年04月19日 10:16