世界には自分と全く同じ顔の人間が7人いて、全員に会うと死ぬんだって、なんていう噂を小学生のころに聞いたことがある。
根拠がないのに「死ぬんだって」という展開になるのは、小学生の言うことだから仕方ない。
けれども、そうでなくてもドッペルゲンガーにはどことなく死のイメージが付き纏う。
「無自覚に行っている行動」なのか、「自分によく似た人の行動」なのか、あるいは全くの妄想なのかはわからないが、芥川は実際にドッペルゲンガーの影に怯えていたらしい。
全然会った覚えがない人に「やあ、こないだはどうも」なんて言われたら、それはそれは気持ちが悪いものだろう。
そしてそれは、彼の晩年の作品の中にもたびたび妄想や凶器の片鱗として登場することもあった。
芥川が死の直前まで取り組んでいた作品で、「人を殺したかしら?」(のちに「夢」と改題)というタイトルの未定稿がある。
ドッペルゲンガーを題材に扱った作品なのだが、これについてはまた次回。
つづく
Posted by 藤本瑞樹 at March 22, 2007 12:10 AM
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