2006年04月05日

第六話 母への愛
[2:さかな公団のLOVE色々]

自分は結構なマザコンだと思う。

幼い頃から、悩み事や愚痴の大半は母に言い続けてきたし、今でも困ったなあという時は頼りにしている。
いつだって母は私が寄りかかれる大きな木のような存在だったのだ。
しかし、最近その大樹が意外に、弱いことを知った。
腸に穴が空いたのでお腹を切って手術をした。

急なことだったので、びっくりした。
その日はなぜか物をよく落とし、壊す日だった。
朝は洗濯用洗剤を床にぶちまけ、夜はルームライトを、そしてガラス皿をレンジで温めてすぎて割った。
父からの着信に気がついたのは夜中だった。
夕方ごろお腹が痛いといって病院に行くと、すぐに切ったほうがいいということで緊急に手術した、とのことだ。
父の「大手術だった」という言葉に事の重大さと、父のその日の疲労感を感じた。

次の日、病院にいってみると本当に具合が悪そうだ。
それでも無理してなんでもないような顔をしようとしていた。
子供を産んだことも育てたこともないから詳しいことはよくわからないけど、
「母」っていうのは自然になれるんじゃなくて、努力してなるものなんだとその時思った。
父には少し甘えられるようだったので安心した。

今ではもうすっかり回復して、切った手術の跡をしきりに私に見せたがるが、あんなに病人っぽい顔をした母を見るのは、もういい。

素直に、親孝行しようと思う、今日このごろ。

Posted by 鵜飼秋子 at 2006年04月05日 12:43
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