2006年03月08日

第三話 芝居への愛
[2:さかな公団のLOVE色々]

なんで、好きなんでしょうかね。お芝居。
本当は表現だったら芝居じゃなくても絵でも文でもなんでも良かったのかもしれない。

だって、芝居ってひとつ作るだけでも大変ですよね。
稽古期間は最低、1ヶ月は必要だから、気分が乗ったのでちょろっと風呂上りに作りました、なんてあり得ない。
それにたくさんの人手が必要です(たいてい)。
役者がいて、演出家がいて、作家がいて、スタッフがいて…やっと出来ます。
せっかく作っても後には残らないし。
なんて、効率の悪い表現なんでしょう。

ただ、こんなに続けて、なお好きでいられるのにもし理由があるのだとしたら、それはやっぱり一人では作れないから、かもしれません。人と関わらないと作れない、それがいいのかもしれません。

ごめんなさい、ちょっと上手く言葉にできません。
その代わりに、と言ってはなんですが先日、猛烈に芝居制作中に感じた愛のエピソードをひとつ。

飛ぶ劇場が、昨年十月から今年三月の半年間にわたって上演してきた『IRON』が先週日曜、東京池袋にて幕を閉じました。
それぞれがそれぞれに、いろんな想いを抱いてきた『IRON』でしたが、ラストステージのラストシーンで花びらが舞いました。
通常のラストに花びらは舞いません。スタッフさんがみんなに内緒で仕込んで降らせたのでした。
作品への愛情がひたすら伝わる花びらに、私の心も猛烈に満たされました。

いろんな人から愛情を吸って大きくなるのが芝居だとしたら、どんなに効率が悪くても、どんなに儚くても、こんなに素敵なことはない。

Posted by 鵜飼秋子 at 2006年03月08日 20:58
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