Vol.15 2007冬号

Pre-stage Voice1 (その1)

10年、20年前の録音で今も新鮮に笑える落語。
その魅力をきっちり芝居にしたくて。

インタビュー/G2(演出家)

G2&松尾貴史の最強コンビが、手練れの作家・役者陣を集めては、誰にも真似できない個性的な舞台を世に送り出して来た演劇ユニットAGAPE storeが、北九州芸術劇場と連携!
上方落語の魅力をギューッと芝居に詰め込むべく奮闘中の演出家に、新たな挑戦への意気込みを聞きました。

Pre-stage Voice1 (その2)

from 【AGAPE store】 松尾貴史氏

落語というものは、世界にも類を見ないほど洗練された芸能だと思います。観客の頭の中にとてつもなく壮大かつ精緻な想像力を要求する、民度が高くなければ楽しめない娯楽では無いでしょうか。しかし、それを立体的に見せる。それも、ギャグの要素が多い上方落語を数十本、縦横無尽に編むというのですから大変です。作家も演出家もスタッフも大変でしょうが、役者もえらいことです。演劇界でも選りすぐりの魅力ある俳優がうち揃いました。落語界からは米朝一門の若手随一の技量を誇る桂吉弥君、情報豊かな吉坊にしっかりとした裏打ちの役割も果たして頂けることでしょう。そして何と歌舞伎界からはかの天才・市川笑也さんにお出まし頂き、魅惑的な笑いの世界を構築して頂けそうです。大変です。

松尾貴史◎まつおたかし 大阪芸術大学を卒業後、84年「キッチュ」の名でデビュー。のち「松尾貴史」に改名。 TV・ラジオはもとより、映画、舞台、エッセイなど幅広い分野で活躍。G2氏とのパフォーマンスユニット「AGAPE store」でも演劇の枠にとらわれない自由な発想で作品を創り続けている。また、落語への造詣も深く、東西の落語家との親交も厚い。



from 【脚本家】 東野ひろあき氏

とにもかくにも「上方落語を数十本盛り込んで一編につなげてしまう」という恐れを知らぬ今回の試み。もうその時点で"奇想天外""前代未聞""驚天動地"の楽しさ満開の物語であることはご想像の通りです。
上方落語をよくご存じの方なら「おっとそう来たか!これはあのネタだな!」とマニア心を存分にくすぐられること請け合い。逆にほとんど知らないという方でも心配ご無用。なぜなら、上方落語に登場する人物たちは、愛すべき"ヘンな人たち"だらけ。どのネタも"わかりやすい"理屈抜きのもの。それがお芝居として立体化されるわけですから、ややこしいはずがありません。おまけにキャストにこの顔ぶれです。この御時世、落語ワールドを大いに満喫して、ひと時でもイヤなことを忘れてもらえたら、こんなにうれしいことはありません。

【脚本】東野ひろあき◎ひがしのひろあき 放送作家としてテレビ・ラジオの番組企画や構成をする傍ら、舞台脚本や、漫才・コントなどの演芸台本も精力的にこなす。先頃、構成ブレーンとして参加した映画『UDON』の小説版・UDON・を上梓したり、弾き語りによるフォークCD発売など、活動は多岐にわたる。無類の猫好き。

Pre-stage Voice2

時代を超える作品強度、継承される身体
―山海塾「金柑少年」

世界を拠点に活動している舞踏カンパニー、山海塾。
彼らの記念碑的作品「金柑少年」が昨年リ・クリエーション=再創作され、06年2月に北九州芸術劇場で上演されます。
時代を超えて受け継がれる作品の根幹とは何か、舞台ライターの岩城京子氏に解説を寄せてもらいました。

Resonance in HIBIKIHALL

「無伴奏ヴァイオリン・リサイタル」に寄せて

デビュー10 周年、ヴァイオリニスト樫本大進が響ホールに初登場!
機熟し、初めて挑む全くのソロ演奏

劇場ナン・コレ

何の変哲もない部屋の中(音響編集室です)。突如聞こえてくる音。その音は、ワタシの寝ぼけた耳を突き抜け、脳みそを一撃。ワタシの「想像」の回路は、お粗末ながら激回転。一瞬にして目の前に凄まじい光景が!「ぬお~~」思わず、感嘆して絶叫。同時に久々の鳥肌。え、何が聞こえてきたかって?ある舞台作品の効果音です。ほんの数秒耳に入っただけで別世界へと瞬時にトリップ。音ってスゴい。まじスゴい、ヤバイッす。失礼。興奮のあまり取り乱してしまいました。今回は、この「音」を作ったり、自在に操ったりする「音響さん」について。

HIBIKI サウンドブレイク

響ホールでは、コンサートと並んで"音楽アウトリーチ"に力を入れています。

"音楽アウトリーチ"とは、演奏家がコンサートホールを飛び出し、学校・病院・福祉施設など、なかなかホールに足を運ぶことのできない人たちを対象に出張演奏を行ったり、地域や商店街などでミニコンサートを行い、音楽をきっかけとした地域づくりのお手伝いをしたりする、クラシック音楽をより身近に感じてもらうための活動です。クラシック音楽を好きになるにはまず聴いてもらうのが一番。ホールに来られない、または、来てくれないのならこちらから行って聴いてもらう。実際に一流の演奏を間近に触れてもらうことで、音楽をもっと身近に感じてもらい、クラシック音楽のファンになってもらうものです。

Audience impressions ~観客席から~

■文字や書物から伝わってくる感動とともに、生身の人間が演じてこそ伝わる感動もあるのだと、しみじみ感じました。このような舞台を創った方と同じ時代を共有できる幸せを感じます。◎築上郡 松本美子さん/「敦―山月記・名人伝―」
■シェイクスピアの作品に触れるのは生涯でこれが初めてでした。過去に読む機会はあったのですが、古典的な書き方が苦手で数ページで断念していました。今回のセッションを観終わり、セリフの力、生演奏の力、なによりシェイクスピア戯曲が紡ぎ出す人間の力をラストシーンで体感し、席でしばらくじっとしてしまいました。◎山口県宇部市 人見功一さん/リーディングセッションvol・7「マクベス」
■大笑いするタイプのでお芝居ではなかったですが、ちょっとした会話のズレや価値観の違いにくすくす笑ってしまいました。ヒロシさんがされていた元フリーターの吉田が、迷いながらも最後には抗争の場へ駆け出していく姿に、一人くらい戦わない男がいたっていいのにと、寂しさを感じました。◎筑紫野市 アイアイさん/北九州芸術劇場プロデュース「錦鯉」

Stage Preview

<北九州芸術劇場>

[コントライブ]
■5/19(土)・20(日) シティボーイズミックス PRESENTS「モーゴの人々」
[演劇]
■1/17(水)~21(日) 北九州芸術劇場プロデュース「冒険王07」
■2/10(土)・11(日) 提携公演 南河内万歳一座「百物語」
■3/10(土)・11(日) MONO第34回公演「地獄でございます」
■3/23(金)~25(日) シアターラボ2007 室町モルモット団公演「想稿・銀河鉄道の夜」
■3/23(金)~25(日) イッセー尾形ひとり芝居「イッセー尾形のとまらない生活2007 in 小倉」
■4/6(金)・7(土) ラッパ屋新作公演 鈴木聡書下ろし新作
■5/4(祝・金)・5(土) 恋の骨折り損
[ミュージカル]
■2/22(木)~25(日) ブロードウェイ・ミュージカル「スウィーニー・トッド」~フリート街の悪魔の理髪師~
[伝統芸能]
■1/30(火) 桂文珍独演会
■3/16(金)・17(土) 春風亭小朝独演会
[Choice・パフォーマンス]
■5/22(火)~26(土)・28(月)・29(火) 第37回北九州市ファミリー劇場 角笛シルエット劇場
若松市民会館・八幡市民会館・北九州芸術劇場大ホール・門司市民会館・戸畑市民会館
[Choice・伝統芸能]
■3/7 受託事業 人形浄瑠璃「文楽」 戸畑市民会館大ホール