2005年08月11日

[「10年書き続ける」ための戯曲講座]

第五回(7月30日(土)14:00〜18:00)

講座の始まりに、「(すぐに講義に入るのではなく)いろいろとクイズなど出したいのだけど、時間がないので早くいこうね。」とはせ氏が言われましたが、受講生のみんなは「え?どんなクイズ?」「気になる!」と講義よりもクイズのほうが気になる様子です。

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↑ある受講生から東京土産のお菓子が振舞われました。
今日は、お菓子を食べながらまるでサロンのような雰囲気でのスタートです。

今回で5回目の講座というのに前回とは全然違うものを書いてきた受講生もいました。
開発工事によって切られようとしている木を守ろうと頑張っている男たちが、夜の集会所に集まってその相談をしているという内容のものです。
話の中では、汗をかいているのにひどく寒がる人がいたりと何やらミステリアスに展開しそうな様子。
しかし、書かれてある場面がまだ1場のみであることもあっていま一つ分かりにくい感じです。
はせ氏は、「設定を少し隠して書き出すことに関して、余計な説明をしないのは見ている人がだんだん分かってくるという楽しみもある。けれども、舞台にどこまで興味を持たせ続けられるか、そのさじ加減が難しいんだよね。分からなすぎるのは困る。分からないことに関心を持てる人もいれば離れていく人もいるということは意識しておいて。」と言われました。
「今読んだ限りでは、作者がテーマが見つかっているのかはどうかちょっと分からない。照明や音響が加わったりしてもっと見えてくるものがあるのだろうけど、戯曲の中で(テキストとして)テーマは決まっておいた方がいいね。」とも言われました。
はせ氏の「木のイメージはあるの?」や「どんな場所にあって、その木にまつわるエピソードなんかは?」という質問に漠然とした回答の受講生でしたが、質問によって気付かされることも多い様子でした。
はせ氏によると「この話では木が出てくるんだから、今質問したようなイメージを持つことは必要。木だけでなく、例えば登場人物がオタクだったり父親がいなかったり・・・など書きながら想像を具体化することが大事なんだよ。そうして書いていても筆が止まることもあるけど、何も想像していないよりも止まり方が違うからね。」ということです。


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↑「ゴメンね。細かいこと聞いて!突っつくのが趣味なんですぅ(笑)。」

書ける所から書いていてほとんどの部分が出てしまっている受講生には、はせ氏から「これでもうほとんど完成型に近いと思っていいの?」と質問があり、「会話とト書きをもう少し付け足します。」という返事がありました。
その会話やト書きがどのくらいのものなのか、又内容がどういうものなのかによって大きく変わってくるので、この段階でコメントするのは難しいとはせ氏は言われ、「頭から書いていく流れの積み重ねによって話が変わっていくこともある。プロットをいくら書いていても絶対に起こしたかった事件が書けなくなってしまうことだってある。それがいいか悪いかは別として。そういった意味でも、一度初めに戻して頭から(時系列で)書いてみてもいいのでは?」とアドバイスがありました。
受講生の考えた6つの部屋の分割を同時に舞台で見せているという視覚的にも充分面白い設定が「小さくまとまってしまって思ったほどダイナミックに仕上がっていないのがもったいない。」とも言われ、演出でも遊べるけれど戯曲でもっとがんばって書いて欲しいということでした。

ドラッグと若者を書いた受講生の作品は、春・夏・秋・冬と4つの場面で構成されていて、今日は春と夏が提出されました。
前回と同じく登場人物がまた一人男から女に変わっていて、そのせいか少しトーンも違ってきました。
「前回まではこういう世界が書きたいというのが強く出すぎていてある意味心配もあったけど、新しく提出されたものを読んでみて確実によくなってきていると思ったよ。」と、はせ氏は感想を述べました。
「ドラッグをやっている人たちって一般社会から見て普通の人たちではないのだろうけど、少なくともここでの会話(一場・春)は興味を引くよう丁寧にされている。もちろん、会話だけでなく時間の描き方も数段よくなってきているね。」とも。
会話の中で、誰かの台詞に対して相手が「・・・。」で受けるのが多用される箇所があり、それについてはせ氏は「“・・・”を挟むってことは、基本的にその前の台詞に何か影響力があってあえて沈黙しているということだよね。もしくは、“・・・”の後に話す側がそれを確認しながら喋っているか。あまり会話で“・・・”が多いと役者も『どう演じよう!?』と考えてしまう。特に(影響力として)必要ないのであれば“・・・”で区切らないでつなげてしまっていいのでは?全部取れというのではないけれど、ここでは9回も出てくるのでちょっと見直してみて。」と話されました。

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↑微妙な直しも見逃さないよう、他の受講生の宿題も入念にチェック。

受講生の中には、パソコントラブルに見舞われてせっかく書いたデータがエラーでとんでなくなってしまった人もいました。
全3場から成る構成のうちの3場部分がとんでしまったとか。
今日発表のあった2場ではいろいろなことが同時発生して大きなヤマを迎え、いよいよ3場で全てが明らかになるという設定であったため、一読者の立場としてもかなり気がかりです。
作者も思い出して書いてはみたけれど、3行あった台詞が2行しかなかったりと、何かがちょっと違うことに不安を持つと言います。
はせ氏も「大丈夫!絶対前よりもよくなっているはずだから書けるよ。がんばって!」とエールを送っていました。
いろいろなことが爆発して急展開を迎えた場面では、「爆発が絵として3つくらい起こっているので、お客さんとしては一気にたくさんの情報が入ってきてかなりいっぱいいっぱいな状況。ここはもう少し丁寧に書いてあげて。場面としてまだまだボリュームがあってもいいから。ちょっと慌てすぎている気もするよ。」とアドバイスされました。

この講座もいよいよ残すところあと3回となりました。
次回までも中1週間しかありません。
「宿題をメールで提出してから次の講座までしかお休みはないものと思って集中してね。次回は是非是非書き上げてきてください!」と、はせ氏は結んで本日の講座は終了です。

Posted by at 16:12