2005年11月12日

[演劇人の為のアーツマネージメント講座 ―How to 「演劇制作」―]

第8回 まとめ (11月7日[月])

最終回となる今回は、事前に「実現可能な舞台の企画を考え、企画書と予算書を提出する」という課題を踏まえてのまとめとなりました。
提出された企画の総評としては「具体的で、実行性のあるものになった」とのこと。

まずは、シアターラボのリーディング公演を観て感じたことを話し合いました。
シアターラボの上演作はまだ未定。「どちらも共感できなかった」という人あり、「どちらも見てみたい」という人ありで、実際、リーディング公演のアンケートでも同じような感触だったようです。

そして、課題として提出された企画をそれぞれみんなで見ていき、よい部分、もう少しよくできる部分を講師にコメントしてもらいました。

<ライブハウスでシチュエーションコメディをやる企画>
・出演者も作・演出家も地元の若い人選で、チケット代や会場費の予算面も、集客さえうまくいけばやれるよね。
・一過性のイベントではなく、これをやる人たちにとってこの先この企画がどういう意味を持つものになるか考えてやれるといいね。いずれギャラを獲れるようになるには?とか短編から入って長編を書いてもらうとかという方向も考えて。

<映像とダンスのコラボレーション企画>
・実際にやることが決まってるんだよね。十分やれると思いますよ。
・企画書にプロフィールが充実しているのはいいね。ユニットの場合は、どういう人がやるのかがとても大事。
・舞台で映像は頻繁に使われるようになっているけど、この企画でやろうとしていることは明快なコンセプトがあっておもしろいですね。
・企画書のスタッフ欄の順番をちょっと整理したらいいかな。(これは他の人も)
 慣例的に、
   (1)作・演出 → 美術 → 照明 → 音響 … などの文芸部分
 の次に
   (2)大道具製作や照明、音響オペなどのテクニカル部分
   (3)全体統括として 舞台監督
   (4)制作は最後、さらに一番最後に企画制作。

<地元劇団に外部から演出家を迎えて既存戯曲を上演する演劇の企画>
・この劇団にこの演出家、戯曲という選び方は正しいね。
・「市民参加」の部分で、「出演以外の別の入口もある」という考え方はきちんと企画書に書いておいた方がいいよ。
・名前を挙げている人たち本人の了解をもらえればやれそうな企画だね。

<同じ素材をミュージシャンと俳優がそれぞれに解釈・パフォーマンスして対決する企画>
・どういうステージになるのか、対決の仕方が見えないですね。
・企画書には「実験的」と書いてあるけど、言葉としては訴求力が弱い。多くの人がイメージを描けるように伝えた方がいいね。

<子どもたちが出演する劇団が九州各県公演を行う企画>
・交通・宿泊費が今書いてある予算で大丈夫だろうか?
・拠点から離れる場合、地元の協力者を捕まえないとまず集客は難しい。
・公演予定の1年くらい前に、行こうと思うところにビデオと企画書を持って、文化振興財団や教育委員会とかに協力者を見つけた方がいいですね。共催を獲るくらいの気持ちで。
・テクニカルスタッフの人件費は旅に出るには少ないかな。県内で、他の仕事ができる場合ならなんとかなるけど拘束期間も長くなるわけだし、その期間他の仕事もできなくなるので、仕事として成立する金額で組まないと受けてもらえない。
・出演する子どもたちの言葉も企画書にあるといいな。

<童話をパントマイムで表現する企画>
・キャッチコピーに使われている数字の説明が企画書本文にないけど、そういうのはちゃんと入っている方がいいよ。
・入場料とか予算面はもう少し考える余地があるね。

<ミュージカルの有名ナンバーを上演する企画>
・かなりがんばらないと想定入場者数は集まらないなあ。
・著作権料がすごくかかると思うから、今設定の料金じゃ難しい
・舞台に費用をかけなかったとしても照明にお金がかかったりするかもね。
・シリーズ化するとか規模を縮小して、総製作費をもう少し少なくできるとよいですね。

<有名古典戯曲を幕ごとに地元劇団が上演する企画>
・企画書、予算書を見る限りでは、舞台監督=統括者が複数いる。それは現実的に無理。照明、音響、美術なども、使う空間は一つなので、プランをする人は一人の方がいい。複数いてできないことはないけど、打ち合わせをたくさんしないといけなくなるかな。そのあたりを整理できると可能性が出てくる。
・入場料設定が、各幕の料金が通常の相場になっているけど、通し券の方を相場にそろえた方がいいだろうね。
・細かいところを詰めていければやれない企画ではない。地元劇団と一緒にやる地元の演劇振興ということで、助成金も獲りやすいと思う。やってみては?

<戦後文学の有名作家の作品を現役女性作家が戯曲化、有名舞台俳優の出演で上演する企画>
・かなり実現性のある企画。この作家の作品を舞台化するにあたっては、誰に脚本を依頼するかというのが課題だと思うけど、彼女なら十分できるし、現代性の強い作品ができるだろうと思う。
・彼女が戯曲化を引き受けるかどうかは演出家次第だろうと想像されるけど、今企画書に書いてある人だと実績面で弱いかな。
・出演者のギャラは今の予算の3倍はかかるだろうね。
・舞台費ももっと多くした方がいい。
・シリーズ化もできそうだね。

◎受講生全体で指摘のあった箇所
・衣装=時代劇など和物に対して使う。通常の現代劇では「衣裳」。ほとんどの受講生が企画書に「衣装」と書いていました。
・この場で発表された企画は盗まないように。日本では、舞台作品の企画や製作に著作権はないので、法律的には問題はないけれども…。

最後に講師の新里氏は、
「最初に出してもらった課題に比べて、中身も数字も見えるものになった。
 ・コンセプトが自分の中で明快か
 ・企画の話をしたときに、話した相手がイメージできるか
 ・作る過程が頭に浮かぶか → それが浮かべばお金のことも見えてくる
 という点を考えていってください。
 一つ一つのパーツを積み上げていくことで舞台は出来上がる。」
とコメントし、まとめとなりました。

この講座の受講生から、実際に公演の企画がどんどん生まれるといいですね。(了)

Posted by 北九州芸術劇場(K) at 18:17