[「10年書き続ける」ための戯曲講座]
最終回(9月10日(土)14:00〜18:00)
いよいよこの講座も最終回となりました。
今日は全員書き上げての提出です。
ある受講生より、1時間50分くらいの作品になってしまったので20分くらい削りたいという話がありました。
なんでも人間の集中力が1時間30分が限界というので、それを思えば少し長すぎるのでは?と不安になったそうです。
これを受けてはせ氏は、少し前に坂手洋二氏(劇団:燐光群主宰、前回の戯曲講座の講師)から次回の芝居について「2時間50分ものなんだけど、まあ見てみて。あっという間に終わるよ。すごい芝居だから!」と、電話があったという話をされました。
坂手氏が2時間50分もの大作をあっという間に終わると言っているのはちょっと大げさかもしれないけど、少々時間が長くても内容によっては(観客を退屈させなければ)気にならないので単に時間が長いというだけで気にする必要はない。2時間を越えなければいいんじゃない?ということでした。
自分の劇団で2週間後に公演を控えている作品(この場合はシアターラボ2005の選考対象外)を提出した受講生もいて、その受講生から「劇団としての書き方(全員を登場させなくてはいけない・・・etc)から抜け出すためにはどうすればよいでしょうか?」という質問がありました。
はせ氏は、「自分がどうしても書きたいものがあるなら、(例えば)『今回は8人のドラマを書きたい。』と劇団の仲間に相談して分かってもらうしかないね。どこかで挑戦があってもいいと思うよ。〇〇さん(受講生)自身が短くてもいいから本番を当てにしない作品を書いてみては?」とアドバイスされました。
はせ氏はこの受講生の戯曲が自分の劇団に向けたスタイルで書かれていることに対し、一般的に読みやすい戯曲を書く必要性についても触れました。
例えば、戯曲賞の選考の際、読み辛いものは最後まで読んでもらえない可能性もあるし、読みやすい戯曲を書くということは大事だといいます。
はせ氏は受講生全員に、これからはいろいろな戯曲賞にどんどんチャレンジして欲しいと話され、その一つに名古屋市が募集する戯曲賞(はせ氏も審査員を務めます。)についての紹介もありました。
名古屋市のものは(本にさえなっていなければ)発表済みのものでも大丈夫なので、例えば過去に劇団として上演した作品であっても応募できるそうです。
はせ氏が審査員とはいえ、この戯曲賞は誰が書いたのかということを公表しないで審査されるため「知り合いだからもしかして・・・?」なんて考えは通用しないとのことです(笑)。
↑はせ氏大絶賛のリーディングもいよいよ最後。
前回までに思うほど書けていなかった受講生も、本人曰く「無理やり書いてきた。」と最後まで書ききってのの提出です。
「おお!書いてきた。ホント無理やりやね(笑)。ま、とりあえす約束は守ったということでよしとしましょう。」とはせ氏は笑い、講評に入りました。
ここではある雑誌社の事務所での出来事が描かれていて(作者自身そういう事情をよく知っているということもあり)、前半は現場のリアリティをよく掴んでいるとはせ氏は誉められました。
けれども、前半のその臨場感に対し、後半は説明しすぎていたり無理して書いている雰囲気が出てしまっているのがもったいないと言われました。
後半は映画で言うならダイジェスト版(予告編)を見せられているような感じがするとも。
「もう一度落ち着いてからリライトし、小気味のいい短編に落としてみてもいいね。」とアドバイスがありました。
↑慌てて書き上げたと言う受講生の戯曲には入力ミスがいっぱい。
これを見てはせ氏も「かなりかつかつで書き上げたのがよ〜く分かります(笑)。」と一言。
3場からなる物語のうち最後のシーンを何度も書き直していて、3回目の書き直しで提出した受講生は「どう書いていいのか分からなくなって、今回は初めのメモをつなぎ合わせてみました。書きたいことは出せたと思うけど、あまり納得はしていません。言葉の使い方がなんとなく気持ち悪いなぁと思ったり・・・。」ということです。
はせ氏は「終わり方だけみても初稿とずいぶん変わったね。」と言われ、「何度も書き直していくと一番初めに書いたものに戻ることもある。あるいは、書き直すうちに分からなくなってしまってどうにでも終われるようにもなってくる。だから、そうならずに書きたいことがとりあえず書けたのはよかった。それに、情報が具体的になってきたせいかいろいろなことが分かりやすくなってきているよ。」と言われていました。
これまで毎回新しいものに書き換えてきた受講生も、前回の続きから始め最後まで完成させてきました。
タイトルも最終回にしてようやく決定(笑)。
はせ氏も「上がったじゃない!?メールで送ってもらった時に(※受講生の宿題はメールではせ氏に送られます。)真っ先に君のをチェックしたよ。変わってない!(ホッ)ってね。」と言われていました。
しかし、以前書いた戯曲を回想シーンとしてどこかに入れると言っていたのが入ってないことについては、講座の全員が「あれを一体どう繋げるのだろう?」と気になっていただけに残念です。
「結局、当初に思っていたことは達成できたの?」という質問には、「全然違う方向にいっちゃいましたねえ〜(笑)。」と、あっけらかんと答える受講生。
まあ、とちらにしても書き上げただけでもすごいことなのです。
なんといっても、この受講生はたった2回の講座で戯曲を1本完成させたのですから。
↑「書き直しが今までの中で一番しっくりきてるね。」
それぞれの戯曲への講評が終わり、最後にはせ氏からみんなへお話がありました。
「8回の講義だったけど、なんとかみんなが書き上げてくれたのはよかったです。本当はあともう1回あればもっとよかったんだろうけど。この講座のタイトルに“10年書き続けるための戯曲講座”とあるけれど、10年書き続ける間には途中へこんだりやめようかなと思うようなこともあると思う。実際に自分もそうだったし。だけども、ある種の柔軟さと頑固さの両方を持ってそのバランスをとりながら何とか書き続けて言って欲しい。書きたいことがなくなったなんていうのは言い訳で、10年も書き続けたらいろいろと見えてくるものもある。今日の最初にもちょっと言ったけど、賞(戯曲の)にもどんどん挑戦して欲しい。たとえ落ちても気にしないで!向こう(審査員)の都合があったりいろいろな事情もあるだろうし、賞が取れたらラッキーと思うくらいの気持ちで臨んで下さい。」とはせ氏は話され、全8回の講座を終了しました。
リーディングに選ばれる戯曲の発表は約2週間後です。
最後の最後まで予想もつかないまま講座の終了となり、一体どれになるのか発表が待ちきれません。